開咬患者の咀嚼運動 : 運動経路と運動リズムの安定性
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概要
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開咬患者の咀嚼運動の特性を明らかにする目的で, 咀嚼運動自動分析システムを用いて正常咬合者30名(男性17名, 女性13名, 正常咬合群)と開咬患者30名(男性5名, 女性25名, 開咬群)のガム咀嚼時における咀嚼運動の安定性について, 両群間で定量的に比較した.また, 開咬群を咬合接触状態によって, 小臼歯および第一, 第二大臼歯が接触しているもの(PM群), 第一および第二大臼歯が接触しているもの(FM群), 第二大臼歯のみが接触しているもの(SM群)の3群に分類し, 各群間で比較した結果, 以下の結論を得た.1. 運動経路の安定性の指標である開口時側方成分, 閉口時側方成分, 垂直成分の各SD/OD(標準偏差/開口量), および運動リズムの安定性の指標である開口相時間, 閉口相時間, 咬合相時間, サイクルタイムの各変動係数のすべてにおいて, 正常咬合群では, 男女群間に有意差は認められなかった.2. 運動経路および運動リズムの安定性のすべての指標において, 開咬群の方が正常咬合群よりも大きく, 両群間に高度な有意差が認められた.3. PM群, FM群, SM群における運動経路の安定性は, 開口時側方成分, 垂直成分の各SD/ODではFM群とSM群との間に有意差, 閉口時側方成分のSD/ODではPM群とSM群との間に高度な有意差がそれぞれ認められた.4. PM群, FM群, SM群における運動リズムの安定性は, 咬合相時間の変動係数ではPM群とSM群との間, サイクルタイムの変動係数ではFM群とSM群との間にそれぞれ有意差が認められた.また, 閉口相時間の変動係数ではFM群とSM群との間, PM群とSM群との間, サイクルタイムの変動係数ではPM群とSM群との間にそれぞれ高度な有意差が認められた.以上より, 開咬患者の咀嚼運動における運動経路, 運動リズムは不安定であり, その安定性は咬合接触状態によって異なることが示唆された.
- 日本矯正歯科学会の論文
著者
-
今村 直人
日本歯科大学歯学部歯科矯正学講座
-
石川 晴夫
日本歯科大学歯学部歯科矯正学教室
-
中村 俊弘
日本歯科大学歯学部歯科矯正学教室
-
石川 晴夫
日本歯科大学歯学部歯科矯正学講座
-
中村 俊弘
日本歯科大学歯学部歯科矯正学講座
-
中村 俊弘
日本歯科大学生命歯学部歯科矯正学講座
-
中村 俊弘
日本歯科大学歯学部
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