Angle II級上顎前突者の咀嚼運動 : 運動経路と運動リズム

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Angle II級上顎前突者における咀嚼運動時の機能的特性を明らかにする目的で,咀嚼運動自動分析システムを用いてAngle II級上顎前突者10名(上顎前突群)と正常咬合者10名(正常咬合群)のガム咀嚼時における運動経路と運動リズム,ならびにそれらの安定性について,両群間で定量的に比較し,以下の結論を得た. 1.開口量は,上顎前突群のほうが正常咬合群よりも小さく,両群間に高度な有意差が認められた.また平均咀嚼幅は,上顎前突群のほうが正常咬合群よりも小かったが,両群間に有意差は認められなかった. 2.運動経路の安定性を表わす指標は,いずれも上顎前突群のほうが正常咬合群よりも大きく,開口時側方成分と垂直成分の両SD/OD(標準偏差/開口量)では両群間に高度な有意差,閉口時側方成分のSD/ODでは両群間に有意差が認められた. 3.運動リズムを表わす指標は,いずれも上顎前突群のほうが正常咬合群よりも大きく,咬合相時間では両群間に有意差は認められなかったが,開口相時間とサイクルタイムでは両群間に高度な有意差,閉口相時間では両群間に有意差が認められた. 4.運動リズムの安定性を表わす指標は,いずれも上顎前突群のほうが正常咬合群よりも大きく,開口相時間とサイクルタイムの各変動係数では両群間に高度な有意差,閉口相時間と咬合相時間の各変動係数では両群間に有意差が認められた.以上より,Angle II級上顎前突者は,正常咬合者と比較して,狭小化した運動経路,延長した運動リズムを示し,咀嚼運動は不安定であることが示唆された.
2009-06-25

Angle II級上顎前突者の咀嚼運動 : 運動経路と運動リズム

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