Angle I 級叢生症例の矯正治療前後の咀嚼運動 : 開口量, 咀嚼幅, 運動経路の安定性について

概要

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Angle I級叢生患者の矯正治療による形態的不正の改善に伴う咀嚼運動経路の変化を評価する目的で, 咀嚼運動自動分析システムを用いて, Angle I級叢生患者20名の矯正治療前後のガム咀嚼時における開口量, 咀嚼幅と運動経路の安定性を定量的に比較した.結果は, 以下の通りである.1. 開口量, 咀嚼幅の平均値は, 矯正治療前では, 13.8mm, 1.8mmであったが, 矯正治療後では, 16.2mm, 2.7mmに増加し, 高度な有意差が認められた.2.開口時側方成分, 閉口時側方成分, 垂直成分の各SD/OD(標準偏差/開口量)の平均値は, 矯正治療前では, 7.1%, 6.4%, 7.5%であったが, 矯正治療後では, 5.5%, 4.4%, 5.7%に減少し, 開口時側方成分と垂直成分では, 有意差, また閉口時側方成分では, 高度な有意差が認められた.以上のことから, 矯正治療による形態的改善は, 不正な咀嚼機能を是正することが示唆された.
日本矯正歯科学会の論文