咬筋切断によるラット下顎頭軟骨組織の基質産生能に対する影響について

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生後4週齢のWistar系雄性ラットの両側咬筋切断に伴う環境の変化が下顎頭軟骨組織の基質産生能に与える影響について, 術後1, 3, 5, 7, 10, 14日目の下顎頭軟骨層の厚径と, 増殖層, 成熟層, 肥大層における基質産生能を^<35>S-sulfateを用いたオートラジオグラフィーにより比較し, 以下の結果を得た.1. 線維層, 増殖層の厚径変化は対照群で実験期間を通じてほぼ一定なのに対し, 実験群では線維層で3日目に, 増殖層では1, 3, 5日目に菲薄し有意差を認めたが, 線維層では5日目以降, 増殖層では7日目以降両群間に有意差は認められなかった.2. 成熟層, 肥大層の厚径変化は対照群で7日目まで経時的に菲薄し, その後はほぼ一定なのに対し, 実験群では成熟層で1, 3, 5日目に, 肥大層では3, 5, 7日目に有意に低い値を示した.2層ともに3日目に最低値を示したが, その後は経時的に増加し, 成熟層では7日目以降両群間に有意差は認められず, 肥大層では14日目に対照群より有意に高い値を示した.3. 増殖層, 成熟層および肥大層の基質産生能については, 対照群では実験期間を通じて前方部, 中央部, 後方部でほぼ一定であった.4. 増殖層, 成熟層の基質産生能は対照群と比較して3部位ともに1, 3日目に有意に低い値を示し, その後は増加し対照群とほぼ同じように推移した.肥大層の実験群においても1, 3日目では対照群に比べ有意に低い値を示し, 5日目以降は対照群より高い値を示す傾向が認められた.以上より咬筋切断によって惹起された下顎頭軟骨層における厚径の変化と基質産生能の変化には発現時期にずれの生じることが認められた.
日本矯正歯科学会の論文

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