若年性関節リウマチ患者における矯正歯科治療の1症例 : 顎顔面頭蓋の成長様相と矯正歯科治療による変化
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概要
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若年性関節リウマチ(JRA)はDentistry原因不明の慢性滑膜炎による関節の骨破壊を特徴とし,多くの場合その進行を予測することは困難である。JRA患者における顎顔面頭蓋の成長変化の長期経過や矯正歯科治療についての報告はほとんどみられない。本症例は,JRAと診断された上顎前突と叢生を伴うについて,問題志向型の診断に基づき治療の優先順位と各種治療方法の利点,欠点を検討した結果,上顎左右側第一小臼歯の抜歯を伴う矯正歯科治療を行うこととした。矯正歯科治療前の観察期間を通じて,側面頭部X線規格写真分析より前頭蓋底と上顎骨は平均的な成長を示したが,下顎骨は前下顔面高の増大を伴い後下方回転を示した。マルチブラケット装置による動的治療期問は1年7か月であり,保定5年1か月を経過した時点で,咬合状態は安定し,機能的にも良好な経過を示している。本症例を通じて,JRA患者に対する矯正歯科治療は,咬合の安定化から生ずる機械的負荷の減少により顎関節病態の悪化を回避し,さらに咀囑機能の改善に伴い長期安定性を得られる可能性のあることが示唆された。
著者
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中村 俊弘
日本歯科大学歯学部歯科矯正学教室
-
稲葉 泉
日本歯科大学歯学部附属病院小児・矯正歯科
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中村 俊弘
日本歯科大学歯学部歯科矯正学講座
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中村 俊弘
日本歯科大学生命歯学部歯科矯正学講座
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中村 俊弘
日本歯科大学歯学部
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