若年性関節リウマチ患者の顎関節と咀嚼運動の変化 : 矯正歯科治療を行った長期経過症例
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概要
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若年性関節リウマチ(JRA)は慢性滑膜炎による関節部の骨破壊を特徴とする.今回われわれは, JRAに罹患した女児についてまで長期にわたり観察を行ったので, 矯正歯科治療前後の顎関節と咀嚼運動の経年的変化について報告する.評価方法として, 顎関節の形態的変化ではcondylar ratioとX線像およびMR画像を, 咀嚼運動の機能的変化ではMKGを用いた咀嚼運動自動分析システムを利用してガム咀嚼時における下顎切歯点の運動を記録した.その結果, パノラマX線写真を用いたcondylar ratioは安定した値を示した.X線像では矯正歯科治療前から治療後にかけて左側下顎頭の平坦化を認めた.MR画像では治療終了後2か月で右側関節円板の前方転位傾向と左側下顎頭の平坦化傾向を認め, 保定観察期間中においてもその状態を維持していた.咀嚼運動の機能的変化において, 咀嚼運動経路・リズムは矯正歯科治療前より治療終了後に安定する傾向が認められた.以上のことから, JRA患者に対する矯正歯科治療は安定した咬合を獲得することで機械的負荷の減少により顎関節病態の悪化を回避し, さらに咀嚼運動の機能的改善に伴い長期安定性を得られる可能性のあることが示唆された.
- 日本矯正歯科学会の論文
- 2005-02-25
著者
-
中村 俊弘
日本歯科大学歯学部歯科矯正学教室
-
中原 リザ子
日本歯科大学歯学部歯科矯正学講座
-
網中 健
日本歯科大学生命歯学部歯科矯正学講座
-
中原 リザ子
日本歯科大学生命歯学部歯科矯正学講座
-
中原 リザ子
日本歯科大学歯学部矯正学講座
-
稲葉 泉
日本歯科大学歯学部附属病院小児・矯正歯科
-
藤田 芳章
ふじた矯正歯科クリニック
-
中村 俊弘
日本歯科大学歯学部歯科矯正学講座
-
中村 俊弘
日本歯科大学生命歯学部歯科矯正学講座
-
中村 俊弘
日本歯科大学歯学部
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