フッ素徐放性材料からエナメル質へのフッ素取込みについて : EPMA 線分析プロファイルの画像解析

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本研究では, 同意の得られた矯正治療患者10名(男子3名, 女子7名, 平均年齢13.3歳)における抜去予定の小臼歯を対象として, in vivoでのエナメル質表層へのフッ素の取込みに関して, 酸処理, フッ素徐放性材料(グラスアイオノマーセメント)の填塞, 5%NaF製剤によるバーニッシュの影響を比較検討した.エナメル質のフッ素濃度測定にはX線マイクロアナライザ(EPMA-8705, (株)島津製作所, 京都)を用い, その後, 得られたフッ素濃度の線分析プロファイルを画像処理することにより, 歯面処理とフッ素取込みとの関連について統計学的解析に適したデータを収集し比較検討したところ以下の結果が得られた.1) EPMAによる線分析プロファイルに画像解析を施すことにより, エナメル質へのフッ素取込み(浸透距離に対するフッ素濃度の積分値)の相対比較が可能となった.2)無処置歯面(対照群)に比べて, グラスアイオノマーセメントの填塞によってフッ素浸透量は有意に増加した.また, 実験に使用した2種類のグラスアイオノマーセメント(Fuji II LC^<[○!R]>, Fuji Ionomer Type III^<[○!R]>, (株)ジーシー, 東京)の間では有意差は認められなかった.3)グラスアイオノマーセメント填塞時の酸処理はフッ素浸透量を有意に増加させる効果を示した.バーニッシュ処置では有意差は検出できなかったが, 増加傾向は認められた.4)本報で示したEPMA線分析と画像解析を併用した解析法は, 歯質内へのフッ素取込みに及ぼす多重要因の効果判定に有効であることが示唆された.
日本矯正歯科学会の論文

フッ素徐放性材料からエナメル質へのフッ素取込みについて : EPMA 線分析プロファイルの画像解析

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