イヌにおける選択的β3アドレナリン作動薬の抗肥満効果 : (II)イヌβ3アドレナリン作動薬の慢性投与による褐色脂肪細胞の増加と体脂肪の減少
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概要
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脂肪細胞に特異的に存在するβ3-アドレナリン受容体の選択的な作動薬をイヌの肥満予防と治療に利用することを目的として, ビーグル成犬を用いて実験を行った.選択的β3作動薬であるCL316, 243(0.1mg/kg)を5-7週間にわたり経口投与すると, プラシーボ投与群に比べて体重と胴囲の減少が認められた.投与終了後の剖検では特に異常は認められなかったが, 薬物投与犬では脂肪組織が明らかに減少していた.腎周囲の脂肪組織を組織学的に検索すると典型的な白色脂肪細胞が減少しており, 逆に多房性の脂肪滴を有する褐色脂肪細胞様の脂肪細胞が増加していた.また, この多房性の細胞には褐色脂肪細胞に特異的な熱産生タンパク質であるuncoupling protein(UCP)の発現が認められた.薬物投与犬でのUCP発現の増加については, ウェスタンブロットおよびRT-PCR解析によっても確認された.以上の結果より, 選択的なβ3作動薬であるCL316, 243は, イヌにおいて脂肪動員を促すのに加えてUCP発現を誘導し, エネルギー消費を増やすことによって抗肥満効果に寄与することが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1998-04-25
著者
-
吉田 俊秀
京都府立医科大学第一内科
-
内田 英二
酪農学園大学獣医内科学第二教室
-
新山 雅美
酪農学園大学獣医学部獣医内科学第2教室
-
斉藤 昌之
北海道大学大学院獣医学研究科
-
内田 英二
酪農学園大学獣医学部獣医第二内科学教室
-
斉藤 昌之
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座生化学教室
-
佐々木 典康
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座生化学教室
-
Sakane N
Kyoto Prefectural Univ. Medcine Kyoto Jpn
-
佐々木 典康
日本獣医畜産大学獣医生理化学教室
-
内田 英二
酪農学園大 獣医
-
新山 雅美
酪農学園大学家畜内科学教室
-
新山 雅美
酪農学園大学獣医学部
-
新山 雅美
酪農学園大学獣医学部獣医学科
-
Sakane N
Kyoto Prefectural Univ. Medicine Kyoto Jpn
-
Sakane Naoki
Department Of Immunology Graduate School Of Pharmaceutical Sciences Osaka University
-
佐々木 典康
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座
-
Uchida E
Rakuno Gakuen Univ. Hokkaido Jpn
-
Uchida Eiji
Veterinary Internal Medicine Ii School Of Veterinary Medicine Rakuno Gakuen University
-
吉田 俊秀
京都府立医科大学 第一内科学教室
-
佐々木 典康
Department of Immunology, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Osaka University
-
吉田 俊秀
京都府立医科大学
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