犬の血中レプチン濃度と肥満に伴う変動
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概要
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レプチンは脂肪組織由来のサイトカインであり,その血中濃度は肥満で上昇することがヒトや留歯類で知られている.今回の研究では,先に我々が確立した特異的ELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay)法を用いて,犬の血中レプチン濃度と肥満の関係について検討した.5頭の雄のビーグル犬に高エネルギー食を3ヵ月間給餌したところ、肥満の進展に伴って血中レプチン濃度は有意に上昇し,重水希釈法で測定した体脂肪率と高い正の相関(r=0.87)を示した.次に動物病院から収集した症例犬の血漿(n=59)についてレプチン濃度をボディコンディションスコア(BCS)と比較したところ,適正体重(BCS=3)と評価された犬の平均血中レプチン濃度は2.7±0.3ng/mlであり,有意な雌雄差は認められなかった.肥満(BCS=4または5)と評価された犬の血中レプチン濃度はそれぞれ9.7±0.7,12.3±1.5ng/mlであり,適正体重群と比べて3〜4倍の高値を示した.適正体重群において血中レプチン濃度と年齢との間に軽微な正の相関が認められたが,内臓脂肪の蓄積が少ない1歳未満の子犬のレプチン値が低いことによるものと推定された.以上の結果から,血中レプチンが犬においても体脂肪率の良い指標であること,および年齢,性別,犬種に拘わらず肥満評価に有用であることが示された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2002-04-25
著者
-
柴田 治樹
(株)森永生科学研究所
-
本庄 勉
森永生科学研究所
-
斉藤 昌之
北海道大学大学院獣医学研究科
-
橋本 晃
北海道大学獣医学部比較病理学教室
-
斉藤 昌之
天使大学大学院看護栄養学研究科
-
斉藤 昌之
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座
-
中塘 二三生
大阪府立看護短大
-
中塘 二三生
大阪府立大学大学院看護学研究科
-
中塘 二三生
大阪府立看護短期大学
-
中塘 二三生
岐阜保健短期大学
-
中塘 二三生
大阪府立大学 総合リハビリテーション学部
-
木村 和弘
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座生化学教室
-
橋本 晃
北海道大学大学院獣医学研究科診断治療学講座臨床分子生物学教室
-
木村 和弘
北海道大学大学院獣医学研究科生化学教室
-
北村 浩
北海道大学大学院獣医学研究科生化学教室
-
モハメド M
北海道大学大学院獣医学研究科生化学教室
-
ソリマン モハマド
タンタ大学
-
石岡 克巳
日本獣医生命科学大学
-
石岡 克己
北海道大学 大学院獣医学研究科
-
本庄 勉
株式会社森永生科学研究所
-
本庄 勉
(株)森永生科学研究所
-
柴田 治樹
森永生科学研究所
-
金平 克史
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座生化学教室
-
佐川 真由美
日本ペットフード(株)研究所
-
本庄 勉
北海道大学 大学院獣医学研究科 比較形態機能学講座 生化学教室
-
本庄 勉
森永生科研
-
斎藤 昌之
Laboratory Of Biochemistry Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido University
-
北村 浩
同志社大
-
中塘 二三生
大阪府立看護大学
-
Hashimoto A
Hokkaido Univ. Sapporo
-
木村 和弘
北大・獣医・生化
-
橋本 晃
北海道大学大学院獣医学研究科臨床診断治療学講座臨床分子生物学教室
-
橋本 晃
北海道大学
-
北村 浩
北海道大学大学院比較形態機能学講座生化学教室
-
Soliman M
Hokkaido Univ. Sapporo Jpn
-
石岡 克己
Department Of Veterinary Nursing School Of Veterinary Nursing And Technology Faculty Of Veterinary S
-
モハメド M
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座生化学教室
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