マウスにおいてβ3-アドレナリン作動薬は骨格筋の脱共役蛋白質発現を誘導する
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概要
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脱共役蛋白質(UCP1)は, 褐色脂肪組織ミトコンドリアでの酸化的リン酸化を脱共役させてエネルギーを熱として放散する分子であり, エネルギー消費の自律的調節に寄与している.先に我々は, 脂肪細胞に存在するβ3アドレナリン受容体の作動薬を肥満動物に投与すると, UCP1 mRNAの発現が脂肪組織で増加し, 肥満が軽減されることを報告した.本研究では, 最近発見された新たなUCP分子種(UCP2, UCP3)について, Yellow KK肥満モデルマウスと対称マウスを用いて同様の検討を行った.UCP2mRNAは両マウスとも各臓器に広く発現が認められたが, 脂肪組織での発現は肥満マウスで高かった.一方UCP3 mPNAは, 骨格筋, 心臓, 褐色脂肪組織の検出された.β3-アドレナリン作動薬CL316, 243(0.1mg/kg/日)を10日間投与すると, 血中遊離脂肪酸が長時間にわたって数倍に上昇するとともに, 骨格筋のUCP2, UCP3 mRNAの発現量が1.8-4.8倍に増加し, 肥満マウスの脂肪組織重量が激減した.しかし脂肪組織でのUCP2, UCP3の発現は変化しなかった.我々は先に, 筋細胞を脂肪酸存在下培養するとこれらのUCPmRNAの発現が増加することを見いだしている.これらの結果を総合して, マウスに対するβ3-アドレナリン作動薬の抗肥満硬化には, 脂肪組織でのUCP発現の増加に加えて骨格筋のUCP2, UCP3の発現増加も寄与しており, 後者については血中遊離脂肪酸の増加に起因するものと推察した.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2001-03-25
著者
-
吉田 俊秀
京都府立医科大学第一内科
-
坂根 直樹
京都府立医科大学第一内科
-
斉藤 昌之
北海道大学大学院獣医学研究科
-
斉藤 昌之
天使大学大学院看護栄養学研究科
-
斉藤 昌之
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座
-
佐々木 典康
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座生化学教室
-
ソリマン モハマド
タンタ大学
-
佐々木 典康
日本獣医畜産大学獣医生理化学教室
-
浅野 淳
北海道大学大学院獣医学研究科実験動物学教室
-
浅野 淳
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座
-
浅野 淳
北海道大学 実験動物
-
斎藤 昌之
Laboratory Of Biochemistry Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido University
-
Sakane N
Kyoto Prefectural Univ. Medicine Kyoto Jpn
-
中村 芳子
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座
-
長瀬 逸郎
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座
-
梅川 恒和
京都府立医科大学第一内科
-
Soliman M
Hokkaido Univ. Sapporo Jpn
-
中村 遊香
Hokkaido Univ. Sapporo Jpn
-
佐々木 典康
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座
-
吉田 俊秀
京都府立医科大学 第一内科学教室
-
佐々木 典康
Department of Immunology, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Osaka University
-
吉田 俊秀
京都府立医科大学
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