ホルスタイン牛好中球の脱顆粒応答および活性酸素産生能に対するレプチンと腫瘍壊死因子の作用(免疫学)
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概要
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脂肪細胞から分泌されるレプチンは摂食調節やエネルギー消費を調節するだけでなく,直接あるいは腫瘍壊死因子(TNF-α)を介して間接的にヒト好中球機能を修飾する.ウシ好中球はfMLP受容体を持たないなどヒト好中球とは異なる特徴を持つ.そこで本研究ではホルスタイン牛好中球の脱顆粒応答および活性酸素産生能に村するレプチンとTNF-αの作用を調べた.なおウシ好中球には活性型レプチン受容体Ob-RbとTNF-α受容体(TNF-R1)の発現が確認された.ヒトレプチン,ヒトTNF-α,活性型ホルボールエステル(PMA)とオプソニン化したザイモザン(OZP)は脱顆粒を惹起しなかった.一方,アナフィラトキシンを含むザイモザン活性化血清は(ZAS)は脱顆粒を誘導した.しかし,レプチンやTNF-αはZASによる脱顆粒反応にも影響しなかった.レプチンを除く,TNF-α, PMA, OZPとZASは活性酸素の産生を異なる強度で誘導した.さらにTNF-αはOZPとZASによる活性酸素産生能を増強し,この活性増大作用の一部分はNADPHオキシダーゼの細胞質コンポーネントであるp47^<phox>の膜移行の増加で説明された.レプチンはいずれの刺激に対しても影響を示さなかった.これらの結果よりヒト好中球とは異なりレプチンはウシ好中球の脱顆粒応答および活性酸素産生能に村して直接的な作用を示さないことが明らかとなった.
- 2007-02-25
著者
-
斉藤 昌之
北海道大学大学院獣医学研究科
-
斉藤 昌之
天使大学大学院看護栄養学研究科
-
斉藤 昌之
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座
-
稲波 修
北海道大学大学院獣医学研究科環境獣医学講座放射線学教室
-
岡松(小倉) 優子
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座生化学教室
-
木村 和弘
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座生化学教室
-
アハメド モハメド
北海道大学大学院獣医学研究科生化学教室
-
ソリマン モハメド
北海道大学大学院獣医学研究科生化学教室
-
山地 大介
北海道大学大学院獣医学研究科生化学教室
-
マコンド ケネディ
北海道大学大学院獣医学研究科生化学教室
-
木村 和弘
北海道大学大学院獣医学研究科生化学教室
-
岡松(小倉) 優子
北海道大学大学院獣医学研究科生化学教室
-
岡松 優子
北海道大学大学院獣医学研究科
-
モハメド M
北海道大学大学院獣医学研究科生化学教室
-
ソリマン モハマド
タンタ大学
-
ソリマン モハマド
北海道大学大学院獣医学研究科生化学教室
-
金平 克史
北海道大学大学院獣医学研究科比較形態機能学講座生化学教室
-
斎藤 昌之
Laboratory Of Biochemistry Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido University
-
稲波 修
北海道大学環境獣医科学講座放射線学教室
-
稲波 修
北海道大学大学院獣医学研究科放射線学教室
-
Inanami Osamu
Department Of Environmental Veterinary Science Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido Unive
-
木村 和弘
北大・獣医・生化
-
ソリマン M.
森永生科学研究所
-
Soliman M
Hokkaido Univ. Sapporo Jpn
-
モハメド アハメド
北海道大学大学院獣医学研究科生化学教室
-
岡松(小倉) 優子
北海道大学大学院獣医学研究科
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