イヌにおける年齢別の血清中ALP分画活性値の定量及びステロイド誘発性ALP分画活性値の診断的意義
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概要
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正常なイヌの血清総アルカリフォスファターゼ (TALP) には骨由来 (BALP), 肝由来 (LALP) およびコルチコステイド誘発性 (CALP) の3種類の分画が存在することが知られている. Wheat Germ Lectinによる沈殿法とレバミゾールによる不活性法により, 75頭の様々な年齢の正常犬におけるALP分画活性値を測定した. BALPは若齢犬では96%, 成犬では38%そして老犬では26%であった. LALPは若齢犬では10%以下であったが, 成犬および老犬では50%以上であった. CALPは若齢犬では12%, 成犬では11%そして老犬では27%であった. またステロイドを長期連続投与されたイヌで, LALPおよびCALP活性値が肝臓の組織病理学的変化とどのように関連するかを検討した. プレドニゾロン大量投与した全てのイヌで, TALP活性の上昇が見られた. しかし肝細胞の空胞変性の程度が軽度のイヌでは, LALP活性値のみが上昇を示したのに対し, 空胞変性の程度が重度のイヌではLALPおよびCALPの上昇が見られた. ステロイド投与によるTALP活性値の上昇は, 肝障害の程度が軽度である場合はLALP活性の上昇によるものであり, 重度になるとLALPおよびCLAPが関与すると考えられた. この2つの分画活性値のモニタリングは肝障害の程度の判定に有用であると考えられた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1997-10-25
著者
-
橋本 晃
北海道大学獣医学部比較病理学教室
-
滝口 満喜
北海道大学大学院獣医学研究科診断治療学講座臨床分子生物学教室
-
滝口 満喜
北海道大学大学院獣医学研究科診断治療学講座臨床分子生物学教室:酪農学園大学獣医学部伴侶動物医療学講座
-
Takiguchi M
Department Of Veterinary Clinical Sciences Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido Universit
-
安田 準
岩手大学 農学部獣医学課程臨床獣医学講座
-
安田 準
北海道大学獣医学部附属動物病院
-
安田 準
Nosai胆江家畜診療所
-
橋本 晃
北海道大学大学院獣医学研究科診断治療学講座臨床分子生物学教室
-
Yasuda Jiro
Laboratory Animal Research Center Institute Of Medical Science The University Of Tokyo
-
シャカリマ ミチェロ
北海道大学大学院獣医学研究科診断治療学講座
-
Hashimoto A
Hokkaido Univ. Sapporo
-
橋本 晃
北海道大学大学院獣医学研究科臨床診断治療学講座臨床分子生物学教室
-
橋本 晃
北海道大学
-
安田 準
北海道大学獣医学部
-
滝口 満喜
北海道大学 大学院獣医学研究科臨床分子生物学教室
-
Takiguchi Mitsuyoshi
Department Of Veterinary Clinical Sciences Graduate School Of Veterinary Medicine Hokkaido Universit
-
シャカリマ ミチェロ
北海道大学大学院獣医学研究科診断冶療学講座
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