ネコ免疫不全ウイルス感染猫におけるアデノシンデアミナーゼ活性(臨床病理学)

概要

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アデノシンデアミナーゼ(ADA)は,ヒトの様々な疾患において臨床的に重要なプリン代謝に関与する酵素である.ネコにおけるADAの臨床的価値を調べるため,血漿ADA (P-ADA)およびT細胞ADA (T-ADA)活性をネコ免疫不全ウイルス(FIV)陰性ネコおよびFIV陽性ネコで測定した.ARC期FIV陽性ネコ群のP-ADA活性は,FIV陰性ネコ群およびAC期FIV陽性ネコ群に比べ,有意に上昇していることが明らかとなった(P<0.005).さらに,両FIV陽性ネコ群全体でのT-ADA活性は,FIV陰性ネコ群に比べて有意に増加しており(P<0.05),これはARC期FIV陽性ネコ群の顕著な上昇によるものだった(P<0.01).FIV陰性ネコ群でのみP-ADAとT-ADAの間に有意な相関が認められた.ARC期FIV陽性ネコ群において,CD4+T細胞数がFIV陰性ネコ群に比べて著しく減少していた(P<0.005).FIV感染のARC期では,T-ADAが増加していることが明らかとなった.これらの結果から,ADAはFIV感染のARC期におけるT細胞の活性化を反映する指標となりえるかもしれない.
社団法人日本獣医学会の論文
2007-09-25