ハマスゲ塊茎から単離したセスキテルベンケトアルコール,cyperoloneの植物生長阻害作用

概要

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ハマスゲ塊茎から得た精油のセスキテルペン画分にセスキテルペンケトン以外の強い生長抑制成分を単離した。本成分の同定を実施したところ,質量数236をもつセスキテルペンケトアルコール,cyperoloneと同定した (Fig. 1, Fig. 2)。Cyperoloneの阻害作用機構を究明するために,cyperoloneの誘導体4成分,dihydrocyperolone,3,4-diolcyperolone, 3,4-dionecyperolone および3,4,11-trionecyperoloneをcyperoloneとともに生物検定に供試した (Fig. 2)。Cyperoloneは4.2×10^<-3>Mでレタス幼苗の生長を阻害し,枯死に至らしめた。また同時に供試したα-cyperoneやcyperotundoneなどのハマスゲ精油構成テルペンよりも強い生長阻害を示し,0.4×10^<-3>Mでも活性が認められた (Table 1)。イネ幼苗に対してもcyperoloneは強い生長阻害を示すが,レタスに比較してその活性程度は低下の傾向にあった (Table 2)。Cyperoloneの誘導体4成分のうち,3,4-diolcyperone, 3,4-dionecyperoloneおよび3,4,11-trionecyperoloneはいずれもcyperoloneに比べて活性は低下するが,dihydrocyperoloneは強い活性を維持した (Table 1, 2)。これらのことより,cyperoloneの生長阻害作用はその構造の3位水酸基と4位カルボニル基に由来するものと推察される。
1990-07-27