イヌヘルペスウイルス糖蛋白gDの生物活性における1つのNリンク糖鎖の役割
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概要
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イヌヘルペスウイルス (CHV) のプラーク純化YP11mu株はYP2株を含む他の株よりも分子量の小さな変異糖蛋白gDを発現する. YP11mu株のgD [gD (YP11mu)] の塩基配列を他の株と比較した結果, 4アミノ酸残基NKTIをコードする12塩基の欠損が見られたに過ぎなかった. このアミノ酸はNリンク糖鎖付加部位を有していることが予測された. gD (YP11mu) とYP2株のgD [gD (YP2)] をCOS-7細胞と昆虫由来細胞 (Sf9細胞) で発現し, 間接蛍光抗体法を行った結果, CHVgDに対する全ての単クローナル抗体により認識された. イムノブロット解析の結果, COS-7細胞あるいはSf9細胞で発現されたgD (YP11mu) はそれぞれ分子量約47-51および39-44kDaを有し, gD (YP2) の分子量 (それぞれ約51-55および41-46kDa) より小さいことが示された. また, ツニカマイシン処理Sf9細胞で発現したgD (YP11mu) の分子量は約37kDaで, gD (YP2) のそれとほぼ同じであった. Sf9細胞で発現したgD (YP11mu) とgD (YP2) はともにイヌの赤血球を凝集した. これらをマウスに免疫した結果, ともに高いウイルス中和 (VN) 抗体を誘導した. これらの結果から, 約4kDaの糖鎖付加部位をコードする4アミノ酸残基は, CHV gDの赤血球凝集活性ならびにVN抗体誘導能に影響を与えないことが示された. また, gD (YP11mu) における欠損は組換え生ワクチン開発の選択マーカーとしても役立つことが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1997-12-25
著者
-
玄 学南
帯広畜産大学原虫病研究センター
-
横山 直明
帯広畜産大学・原虫病研究センター
-
前田 健
山口大学農学部獣医微生物学教室
-
見上 彪
東京大学農学部獣医微生物学教室
-
前田 健
国立感染症研究所 ウイルス第一部
-
藤田 賢太郎
東京大学医科学研究所実験動物研究施設
-
横山 直明
東京大学農学部獣医微生物学教室
-
藤田 賢太郎
東京大学農学部獣医微生物学教室
-
玄 学南
帯広畜産大学
-
Matsui Takane
三菱化学安全科学研究所
-
前田 健
山口大学農学部
-
前田 健
Yamaguchi Univ. Yamaguchi Jpn
-
Xuan Xuenan
Obihiro Univ. Agriculture And Veterinary Medicine Obihiro
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