7 種薬剤のコナヒョウヒダニおよびケナガコナダニの行動に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
7種薬剤のコナヒョウヒダニおよびケナガコナダニの行動に及ぼす影響を, それぞれのダニ繁殖培地およびダニ個体を用いて調査した。培地を用いた試験では, サリチル酸フェニルとイソボルニルチオシアノ酢酸(IBTA)を黒紙に0.05g/m^2の薬量で処理した場合, 両種ダニに対して, 90%以上の高い忌避率が認められた。コナヒョウヒダニに対するオクタクロロジプロピルエーテル(S-421)と, ケナガコナダニに対するフェニトロチオンは5g/m^2の高薬量を処理しても, 忌避率は60%に満たなかった。また, IBTAは65日間に渡って90%以上の忌避率を持続し, 優れた残効性が認められた。ダニ個体を用いた試験では, ガラス管の中で供試薬剤を薬量0.002g/16(cm)^2で処理し, 供試ダニの行動を経時的に観察した。その結果, コナヒョウヒダニに対しては安息香酸ベンジル, IBTAおよびディートの速効性が高く, 30分以内に90%以上の供試ダニの徘徊行動を阻害し, ケナガコナダニに対してはディートのみが同様の速効性を示した。特に, 安息香酸ベンジル, IBTAおよびディートは行動停止効果が高く, これらの薬剤では行動停止に先立って前駆症状もほとんど見られず, ノックダウン個体も少なかった。しかし, フェニトロチオンの場合, コナヒョウヒダニはノックダウン個体がほとんど観察されなかったにもかかわらず, ケナガコナダニでは大部分がノックダウンした。薬剤処理環境下でのこのようなダニ中毒症状の差異から, 供試薬剤は行動停止型とノックダウン型に分類され, 両者の間には作用機作の違いがあることが示唆された。
- 日本衛生動物学会の論文
- 2000-12-15
著者
-
橋本 知幸
日本環境衛生センター
-
橋本 知幸
日本環境衛生センター環境生物部
-
橋本 知幸
日環センター・環境生物
-
橋本 知幸
(財)日本環境衛生センター環境生物部
-
新庄 五朗
財団法人日本環境衛生センター
-
水谷 澄
財団法人日本環境衛生センター環境生物部
-
水谷 澄
日環センター環境生物
-
本山 直樹
千葉大学園芸学部生態制御化学研究室
-
水谷 澄
(財)日本環境衛生センター環境生物部
-
新庄 五朗
(財)日本環境衛生センター環境生物部
-
新庄 五朗
住友化学工業
関連論文
- A17 液化炭酸ガス製剤のヒトスジシマカに対する野外での効力評価(1) : 寺の墓地における効力評価(第62回日本衛生動物学会大会特集)
- 3 レーザー光センサーを用いた家ネズミの探索行動の観察(第61回日本衛生動物学会東日本支部大会講演要旨)
- B10 ヒョウヒダニアレルゲンの定量 : II.ダニアレルゲン簡易検査キット「マイティチェッカー[○!R]」スコアとヒョウヒダニアレルゲン量の相関に関する実験的検証(第62回日本衛生動物学会大会特集)
- B09 ヒョウヒダニアレルゲンの定量 : I.ヒョウヒダニ数とアレルゲン量の相関に関する実験的検証(第62回日本衛生動物学会大会特集)
- シャガス病ベクター Triatoma dimidiata に対する殺虫剤の室内効力試験
- 23 チャガス病媒介サシガメ Triatoma dimidiata に対する数種殺虫剤の基礎効力
- エアーカーテンによる昆虫類の侵入抑制効果
- 東京都内の29小中学校の環境アレルゲンとしてのダニ数及びアレルゲン調査
- 神奈川県内の幼稚園と小学校10校における室内塵性ダニ数とダニアレルゲン量の調査
- 4 神奈川県某市内の幼稚園・小学校におけるダニ汚染状況調査(一般講演,第58回日本衛生動物学会東日本支部大会講演要旨)
- 4 神奈川県内の学校における屋内塵性ダニ類とダニアレルゲン調査(一般講演,第57回日本衛生動物学会東日本支部大会講演要旨)
- A23 ピレスロイド抵抗性アカイエカの蚊取り剤使用環境下での吸血行動の実験的検証(一般講演,演題要旨,第58回日本衛生動物学会大会)
- A04 蚊吸引捕獲機モスキトールの野外における誘引距離について(一般講演,演題要旨,第58回日本衛生動物学会大会)
- B16 2003年と2004年に行ったアカイエカ種群蚊の殺虫剤感受性調査
- A22 ACE遺伝子をマーカーとした日本産Culex pipiens complexの簡易判別法
- 新規化合物アミドフルメト製剤によるダニアレルゲン抑制効果の準実地試験による評価
- チャバネゴキブリの生息密度と喫食性がベイト剤の致死効果に及ぼす影響
- A11 カーペットに生息するコナヒョウヒダニに対する S-1955 エアゾール剤の増殖抑制効果
- B01 新規化合物 S-1955 のダニ類に対する効力
- ケナガコナダニの ATPase 活性と殺ダニ剤による活性の阻害
- 5 殺ダニ剤の屋内廛性ダニ類に対する忌避効果とダニの行動への影響
- EB29 DEET 製剤のアブ類およびブユ類に対する忌避効力
- 7 種薬剤のコナヒョウヒダニおよびケナガコナダニの行動に及ぼす影響
- 開放環境下におけるchlorpyrifos-methyl ECおよびphenothrin ECの蚊成虫に対する効力と観葉植物に及ぼす影響
- 新東京国際空港構内から採取した蚊幼虫の薬剤感受性レベルならびにその結果から推測出来る今後の防除対策
- 回転粘着式クリーナーのダニ密度調査への応用
- 22 プロピオン酸ゲラニルのヒョウヒダニ誘引トラップとしての有効性に関する基礎および実地による評価(第56回日本衛生動物学会東日本支部大会講演要旨)
- カーペットの使用期間と屋内塵性ダニ類の発生の関係について
- 12 住宅リフォームによるダニアレルゲンの除去効果の検討
- 225 住宅リフォームによるダニアレルゲンの除去効果の検討
- 74 一般住宅における害虫類生息調査 : 1. 粘着トラップによるゴキブリ類の捕獲
- 527 ゴキブリ虫体および糞の特異IgE抗体の測定と家屋塵中のゴキブリ関連抗原の定量
- コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの出現パターンに及ぼす温湿度の影響
- 1 屋内塵中の昆虫類
- 一般家屋における屋内塵性ダニに対する殺虫剤の効果の検討(第 1 回日本ダニ学会大会講演要旨)
- B-24 一般住宅における屋内塵性ダニ類の発生消長と環境要因の影響(屋内塵性ダニ類の諸問題)
- オオチョウバエ終齢幼虫に対する7種薬剤の基礎効力試験
- オオチョウバエの人工汚水を用いた室内飼育
- 64 一般住宅における害虫類生息調査 : 2. 屋内塵中の昆虫破片等の調査
- チャバネゴキブリの生息調査法の検討
- A-45 木造家屋に放逐したチャバネゴキブリの動向(不快害虫など)
- S1 ゴキブリ用ベイト剤の基礎と最近の問題点(殺虫剤研究班)
- レーザー光センサーを用いたチャバネゴキブリの俳徊行動の日周性と薬剤忌避行動の観察
- 13 空中散布によるfenitrothionの蚊防除効果について(一般講演,第57回日本衛生動物学会東日本支部大会講演要旨)
- 1 IGR 剤 : 媒介蚊防除と JHM (媒介昆虫防除の展望)
- PCOのための殺虫剤試験法概説(その1)
- 家屋内にみられるダニと防除対策 : 特に畳から発生するダニについて(ダニ)
- 吸血に伴うハマダラカ唾液腺蛋白の減少と被吸血マウスにおける抗唾液腺抗体の誘導
- 13 残渣接触法によるコナヒョウヒダニの薬剤感受性の評価
- 不快害虫ハマベアナタカラダニBalaustium murorum (Acarina:Erythraeidae)に対する数種薬剤の効力
- 18 ヒョウヒダニ 2 種の各発育ステージにおける薬剤感受性の差異
- 17 横浜市内で採集されたタカラダニ Sp. に対する数種薬剤の効力
- 殺虫剤の効用とリスク (特集 化学物質を考える)
- 各種殺虫剤のセアカゴケグモ Latrodectus hasseltii に対する殺虫効力
- B36 ピリプロキシフェンのアカイエカ成虫に対する致死効果と次世代産生阻害効果
- B21 某マンションにおけるチャタテムシの出現とその出現要因の推定
- A33 ピリプロキシフェンのチャバネゴキブリの羽化および産卵に対する影響
- A29 Vectobacl2AS のブユ幼虫に対する実地防除に関する検討
- 4 コナヒョウヒダニ飼育培地における抗原蓄積動態とアレルゲン活性の失活に及ぼす要因の検討
- コナヒョウヒダニ抗原の失活に及ぼす要因の検討(第 9 回日本ダニ学会大会講演要旨)
- 新規合成ピレスロイド, プラレスリンの家庭用殺虫剤としての適用に関する研究 : I. プラレスリン異性体の殺虫活性
- 28 新規ピレスロイド"シフェノトリン"の殺虫活性
- ろ紙接触法による屋内塵性ダニ類 3 種に対する 16 薬剤の殺ダニ効力の評価
- 噴射剤としてジメチルエーテルを含有する殺虫水性エアゾール製剤
- 蚊虫のワイドメッシュ網通過およびその後の吸血におよぼすピレスロイド含浸処理の影響
- 昆虫寄生菌Metarhizium anisopliaeのイエシロアリCoptotermes formosanusに対する殺蟻効果
- 「殺虫剤、O-157、こばえ・厨房、ハエ類・畜舎」で考える害虫防除(Sat 1 殺虫剤研究班)
- 45 イエバエの殺虫剤抵抗性の社会的背景
- 32 シマカ亜属蚊の殺虫剤感受性
- 群馬県旧松井田町霧積川水系におけるブユ採集成績
- 19 カーペットの使用期間と室内塵性ダニ類の発生の関係について
- B39 ケナガコナダニにおける ATPase 活性と殺ダニ剤による阻害
- C121 Dicofol の選択毒性の機構
- 一般家屋のヒョウダニ相に及ぼす温湿度の影響(第 6 回日本ダニ学会大会講演要旨)
- 5 一般住宅の寝具,カーペットにおける屋内塵性ダニ類の分布調査事例(一般講演,第58回日本衛生動物学会東日本支部大会講演要旨)
- 新規化合物S-1308のコナヒョウヒダニに対する殺ダニ特性(一般講演)(第12回日本ダニ学会大会講演要旨)
- B02 薬剤 4 種のコナヒョウヒダニ卵に対する孵化抑制効果
- クサビノミバエの幼虫および成虫の数種殺虫剤に対する感受性
- B-39 ノミバエ幼虫の数種殺虫剤に対する感受性
- 88 微生物製剤のユスリカに対する効力と標的外生物に対する影響について
- 35 ブユ幼虫を用いたピリプロキシフェンの基礎効力についての検討
- 106 九州地区イエバエのピレスロイド感受性の経年変化と他地区産の実状
- 66 本邦産イエバエのピレスロイド感受性の実態とその対策
- 有機リン剤抵抗性イエバエのピレスロイド剤淘汰によるピレスロイド感受性の変化について
- 44 九州地区イエバエの殺虫剤感受性について (1)
- 4 防疫用としてのピレスロイド(防疫用殺虫剤の現状と将来)
- 34 有機リン剤抵抗性蚊成虫防除に関する検討
- 34 蚊の吸血能力に及ぼすピレスロイドを有効成分とする蚊取線香の影響について
- 32 ゴキブリに対するピレスロイドのフラッシングアウト (Flushing out) に関する検討(第 2 報)
- 83 ゴキブリに対する Pyrethroid の Flushing out に関する検討
- 36 TMI-903 (B. t. i. 1.2% 縣濁剤)の 4 種幼虫に対する基礎効力
- ヒョウヒダニ類の数とアレルゲンの量的関係
- 東京都内の29小中学校の環境アレルゲンとしてのダニ数およびアレルゲン調査(続報)
- PCOのための殺虫剤試験法概説(その2)
- 東日本大震災による津波被災市街地における蚊幼虫の発生状況(2011年)
- 震災後の石巻市内におけるハエ類成虫の捕獲成績
- 巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災, 永幡嘉之, 講談社ブルーバックス, \1,000
- 津波被災地における2012年のハエ類の発生状況(ペストロジー学会企画委員会報告)
- O37-1 お好み焼き粉に繁殖したチリダニ類による即時型アレルギーの母子例(アナフィラキシー・その他,口演,第62回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- ディートによるトコジラミの吸血行動の阻止効果