地域から地球へのスケーリング解析に基づくウサギシダ属2種の分布パターンの定量比較
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概要
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地域の試料を地球スケールの情報として定量的に綜合化することが求められている。ここでは異なるスケール(対象範囲)からみた植物の分布パターンの定量比較を試みた。スケーリング解析とは, 対象範囲をズームアップやダウンしてそれぞれの範囲における植物の相対頻度を求め, そのスケールに応じた軌跡の変化を比較する方法である。本報告では広さの異なる対象範囲の分割数を100-182に揃えた。例として北半球に広く分布するウサギシダ属(Gymnocarpium)2種を用い, 北海道中央地域(大雪山系)から地球レベルヘ対象範囲を拡大するスケーリング解析(Mu1tisca1e ana1ysis)を試みた。ウサギシダ(G.dryopteris)は二峰性の頻度分布軌跡を示し, イワウサギシダ(G.robertianum)は台形状の軌跡を示した。地球レベルではほぼ同じ頻度をもつが, 対象範囲を狭めるとウサギシダがより高い頻度を示す。しかし極東スケール(3000km×2000km)ではイワウサギシダが高い。100km×100kmでは両種の共存率の低下が見られる。スケールに依存した環境要因が両種の分布の偏りに関わった可能性がある。
- 日本植物分類学会の論文
- 1996-07-10
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