千島列島の植物地理資料
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概要
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北日本の植物相の成立過程を解明する上で千島列島は大変重要な地域である。1995年, 96年の夏に千島列島の生物多様性を調査する米・露・日による国際プロジェクト(IKIP)に参加したのを機に, この地域の植物分類地理に関する資料を整理した。千島列島全体の植物地理を解析するためにはまず島毎のフロラを明らかにする必要がある。この観点からすると特に中部千島での調査が遅れている。維管束植物以外の生物群による地理区境界が, 維管束植物のそれと一致するのかどうかという問題はこれから明らかになるだろう興味深いテーマのひとつである。日本-ロシア間で少なくない植物の学名が不一致であるという分類学上の問題, 戦前の日本側による膨大な植物標本資料の存在, 基礎的な科学研究をおこなう上での最近のロシア側の経済的困難などを考えると, 日本・ロシアを中心とした生物多様性解明のための国際共同研究を進展させることが特に求められている。
- 日本植物分類学会の論文
- 1997-01-28
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