S-c-S系におけるサブギャップ構造の温度依存性

概要

論文の詳細を見る
我々の作製している全薄膜型Nb/MgO/Nbデバイスは、MgO中にNbのconstrictionを持つS-c-Sデバイスである。このconstrictionは、バリアMgO膜中のピンホールに電界蒸発法(Field Evaporation:FE)で作成し、電気特性はBTK理論の範囲内でバリスティック条件(constriction長、径≦𝓁_e、ξ𝓁_e;:電子の平均自由行程、ξ:超伝導コヒーレンス長)を満たすことを報告している。電流-電圧特性は、FEによりトンネル特性からクリーンメタリック特性まで変化し、Bogoliubov方程式を用いてその大筋は解析できている。しかし、MgO膜厚が簿いとき(<3nm)、FE初期段階のトンネル特性上にはV=2Δ/en(n=1、2、・・・)の電圧位置にピークを持つサブギャップ構造(Sabugap structure:SGS)が存在するが、その発生メカニズムについては十分解明されていなかった。今回、SGSの温度依存性について詳細に調べたので報告する。SGS解析には、バリスティック条件を仮定してOTBK(Octavio, Tinkham, Blonder and Klapwijk)理論を用いている。
社団法人電子情報通信学会の論文
1996-09-18