高次感性知覚からのトップダウン且つ系統的な、心理物理要因と新聴覚モデルの研究

概要

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音響再生装置が再現する音質(音場再生を含む)に関しての多くの評価結果を慎重に検討してみると、スペックがほとんど同じ増幅器、スピーカー、その他の機器で構成された装置であっても、驚くほどの音質の相違を生じている。我々は、聴覚モデルに大きな見落としがあり、よってそれに付随する重大な物理要因が見落とされているに違いないと考えた。この問題を探るために、従来の聴覚モデルに基づいて音響再生装置を構成するボトムアップ的手法と全く逆の方法をとった。即ち、音楽や音に関して高次の感性知覚ができる被験者の知覚するもの(トップ)が正しいものであるとし、そこからトップダウン的手法で聴覚モデルと物理要因の"抜け"を探る。その手法は、高次の感性知覚は言葉で表現されている人に伝えるのだから、全評価語を洗いだし、その評価語(形容詞対)と高次感性知覚(総合評価)の関係を求めるSD法を用いた。その結果、関連する形容詞対が明らかとなり、これらの形容詞対に対して重要な聴覚モデル上の要因とそのために重要な物理要因の研究をはじめた。
社団法人電子情報通信学会の論文
1993-08-20