視野内で動く物体を検出する神経回路モデル
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概要
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動物の網膜に映る視覚刺激が生み出すoptical flowは, 外界の状況や自己運動の知覚に有用である.マカクサルでは, これら高次の運動に関する視覚情報処理を専門的に行っている領野として, 大脳皮質頭頂葉のMT野/MST野がある.MST野背側部(MSTd)の細胞は, 視野のoptical flowのパターン, すなわち, 視野の回転, 拡大・縮小, 並進などの運動パターンに対して, 選択的に応答する.MST野腹側部(MSTl)の細胞は, 視野に広がる大きな受容野を持ちながら, それに比べてずっと小さな運動刺激に方向選択的に応答し, 追跡眼球運動との関係もある.本報告では, このMSTd, MSTlの神経回路モデルを示す.モデルの要は, MST野に強い投射をしているMT野に作った, 4種類の相対運動抽出細胞である.運動方向選択性をもった興奮性受容野と抑制性受容野との配置の違いから, 4種類の速度勾配(相対速度)を抽出することができる.この4種類の相対速度成分から, MSTdとMSTlの細胞を作った.また, MT野細胞によって, 物体が動きによって生み出すoptical flowの速度の不連続点を抽出し, 物体の形態的な特徴点を検出するることができた.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2005-03-23
著者
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福島 邦彦
大阪大学 大学院基礎工学研究科 システム人間系
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福島 邦彦
関西大学総合情報学部
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福島 邦彦
東京工科大学片柳研究所
-
遠山 和也
東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科
-
遠山 和也
東京工科大学メディア学部
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