大脳視覚野におけるV1野-IT野を模した階層型SOMのパターン分類能力(モデル化応用)

概要

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KohonenのSelf-Organizing Maps(SOM)は,入力信号の集合におけるトポロジカル(位相的)な情報を可能な限り保存しつつ,多次元の入力信号をより低次元の空間に写像できる教師なしの神経回路網モデルであり,パターン認識や大脳皮質の様々な領野のモデル化等に応用されている.近年サルを用いた生理学的実験により,視覚野のIT野と呼ばれる領野において中程度に複雑な図形に対して選択性を持つ神経細胞が発見されたが,これらの神経細胞がどのようにして図形に対する選択性を獲得するかについて,SOMを用いたモデル化の試みはなされていない.本論文では,大脳視覚野におけるV1野とIT野の特徴抽出細胞およびV1野からV2野,V4野を経てIT野に至る階層的な神経投射関係に着目し,SOMを階層的に用いたV1-IT SOMを提案する.人工的な幾何学図形の分類実験では,階層化を行なわない基本SOMと比較して,より自然な形態の分類が行なわれることが確認された.また,手書き数字を用いたパターン認識実験を行なった結果,V1-ITSOMは基本SOMと比較して高い認識率が得られることが分かった.
一般社団法人情報処理学会の論文
2002-11-28