金属摩耗粒子診断のための画像処理知識に関する研究

概要

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フェログラフ分析診断は, 各種機器に存在する潤滑油をサンプリングし, これに混入する金属摩耗粒子を調べることにより, 機器の異常を発見する診断方法である。現在, この診断における粒子の認識作業は専門家が顕微鏡を用いて目視することにより行われている。本研究では, この過程の自動化を目標とする。フェログラフ分析において対象となる粒子は全部で14種類である。この中で認識の対象としているのは, 色情報による背景領域と粒子領域の分割が可能なもの9種類である。認識に用いる属性値(2章で述べる)の範囲は, これら9種類の各々について, 以下のような流れで決定している。1. 色情報によって領域の分割を行う。2. 1で得られた領域分割画像中の各領域毎に属性値を抽出する。3. いくつかのサンプルから, 粒子の種類を特定するための属性値の閾値を決定する。4. 3で求めた属性値の閾値を用いて粒子の認識を行う。現行のシステムでは, 入力画像に対して画像処理を行った後, 対象とする粒子の認識を行っている。この際に, 全ての種類の粒子を対象として, 認識を同時に行っていた。このため明確な特徴が得られず, 認識結果は満足のいくものではなかった。しかし, 専門家はどんな場合でもかなり正確に粒子の認識を行っている。その理由として, 専門家は文章化されていない経験や知識を持っており, 粒子の認識の際にそれらを使っているものと考えられる。そこで本研究では, 現行の画像処理・認識システムに加えて, このような専門家の持つ経験や知識を導入するために, エキスパートシステム(知識処理部)の構築を考える。これにより, 今まで画像処理・認識部(システム)で行っていた認識の方法, 順番等の指示を, 専門家の持つ経験や知識を画像処理知識として獲得した知識処理部が代行する。また, このような画像処理知識をまとめた知識ベースの構築を目指す。
一般社団法人情報処理学会の論文
1997-09-24

金属摩耗粒子診断のための画像処理知識に関する研究

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