制約論理型言語による制約指向グラフィックス

概要

論文の詳細を見る
近年,制約指向のインタフェースが注目を浴びてきている.このインタフェースによって,ユーザは何等かの形でアプリケーションの要素間の制約記述(性質記述)を行うだけで,その制約の一貫性維持はシステム側が行うことになり,ユーザの負担は大幅に軽減される.この制約指向インタフェースの研究は,従来からA.Borningらによってオブジェクト指向型言語をベースとしたThingLabなどで進められてきている.ThingLabは言語が持つオブジェクト指向プログラミングの中心となる考え方であるクラスの階層構造とインヘリタンスの機構に基づいた階層的記述(差分的記述)を利用し,グラフィックが表現されており,その制約処理は制約階層に基づいて行われている.一方,我々は制約論理プログラミングの枠組みにおいてグラフィックを表現し制約を処理する制約論理型言語Tritonを設計した.本アプローチでは,そのTritonにグラフィックプリミティブを付加することで言語自体をグラフィック表現言語(グラフィック描画のためのインタフェース:Trident)として扱った.この言語上では,論理プログラミングの述語論理に基づいたグラフィック間の制約の宣言的な記述(仕様記述)が特徴といえる.また,グラフィックの部品間の関係を制約として扱い,その制約の一貫性維持はシステム側に任せ,描画後の部分変更の際のユーザの負担を少なくすることができる.制約処理では,積極的に解を求める処理系に対して,デフォルト制約を取り入れることで,グラフィックに関する制約が少ない(under-constrainted)場合,また制約が競合する(over-constrainted)場合に描画情報が得られなかった際のグラフィックの描画を可能にしている.本稿では,言語上で描かれた制約指向のグラフィックスの設計アプローチについて示した.また,オブジェクト指向のアプローチによるグラフィックスとの比較についても行っている.
1991-02-25

制約論理型言語による制約指向グラフィックス

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク