障害者用情報処理機器の分類法に関する検討

概要

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近年、障害者の生活の質(Quality of Life;QOL)を高める役割を果たすものとしてコンピュータが注目を集めている。彼らに適した情報処理システムを構築するには、ユーザの抱える機能的な障害を補い、情報へアクセスできるようにするための機器(イコライザ)やソフトウェアを選択する必要がある。しかし実際の福祉の現場では、情報や人材が不足しているためか、必要な製品を組み合わせ、対象者に適切なシステムを構築することが必ずしもうまく出来ていないようである。この状況を改善するため、ユーザの障害様相やシステムの構築を考慮した上で、現在入手できる機器を整理し分類することが必要であると思われる。従来、これらの製品は以下の3点から整理されている。すなわち、 1)障害者が情報処理機器を利用する際に生じうる障害とその対策を示した指針(米国・リハビリテーション法第508条,北欧・コンピュータのアクセシビリティに関する北欧ガイドライン,日本・情報処理機器アクセシビリティ指針)。 2)福祉用具としての分類(北欧・ノルディック分類,ISO/DP9999国際規格,ABLEDATA分類)。 3)情報誌類(こころリソースブック,伊藤(1994),坂爪(1994)) である。これらは、障害者用機器の製作や機器の選択などにおいて基準とすべき資料である。しかしこれらの分類には、実際にシステムを構築する上で少なくとも以下の3点の問題がある。 1)システム系の問題:補助装置の分類や紹介が中心であり、実際に利用する際のシステムの構成の方法や利用例が紹介されていない。 2)人間系の問題:障害者にはどのようなタイプの者がいるのかについて統括的に示されておらず、特に重複障害に対する説明が不十分である。また、障害の進行状況への対応が不足している。 3)人間-システムの相互作用の問題:コンピュータシステムを利用する際、どのような点に差し障りがあり、それに対してシステム全体の側から具体的にどのように対応し、構築していくべきかを体系的にまとめたものがない。以上から、障害者の抱える情報アクセスの障害に関する分析とそれへの対応の体系化が求められる。すなわち、コンピュータを利用する上でのバリア(障壁)と、それへの対応について検討する必要があると思われる。そこで本研究では、上記の分析を踏まえ、障害者のシステムを構築し利用する際に役立つための分類のプロトタイプの作成を検討する。
一般社団法人情報処理学会の論文
1995-09-20

障害者用情報処理機器の分類法に関する検討

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