枯草菌の新しいAminopeptidase, その分離法と酵素化学的性質について
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概要
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先に枯草菌菌体にはかなり強力なaminopeptidaseが存在すること, それは少くとも2種の酵素から成ることを報じたが, その後それらのaminopeptidaseの精製法を再検討したところ今一つのaminopeptidaseが存在することを見出した. 糖化型α-amylaseおよび中性proteinase分泌菌として選出した枯草菌を用い, 前報に準じてlysozymeで溶菌し, 次いで数日凍結貯蔵したのち解凍して得られる上澄液を硫安で分画沈殿せしめ, 透析後DEAE-celluloseによるカラムクロマトグラフィーを行い, leucyglycylphenylalanine分解力とleucinamide分解力を検したところ, 前者の基質しか分解しない区分(aminopeptidase II)1コと両者を分解する区分2コが現れ, その中の一つはさきの研究のaminopeptidase Iであるが, 今一つのそれは今回の実験ではじめて見出されたaminopeptidase III で, これについて精製を行いその性質を検討した. AminopeptidaseIII区分をSephadex G-200 でゲル濾過したのち密度勾配電点電気泳動を行ったところ, ディスク電気泳動で単一成分となり, 作用最適pHは10近くにあり, またaminopeptidase I 及びIIと異り 耐熱性で85℃までは温度と共に活性は増大した. 活性発現にはMn^<2+>Co^<2+>を要し, この点ではaminopeptidase I 及びIIと同じであった. leucinamideをも分解するがその活性はCo^<2+>添加の場合にのみ認められた. Aminopeptidase IIIは carbobenzoxyglycyphenylalanineには作用しないが glyculphenylalaninamide に作用してglycineを遊離することからaminopeptidaseの一種と同定された. 種々のペプチド, 特にロイシルペプチドをよく分解した. 種々の合成ペプチド上での作用パターンはaminopeptidase I 及びIIと明らかに異った. 枯草菌は醤油醪にも必ず見出される細菌で醤油の熟成に関与するとも言われている. 枯草菌菌体内には3種ものaminopeptidase が存在することが明らかになったが, これは枯草菌の強大な蛋白分解力と関連して興味ある事実と思われる.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1974-04-25
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