渓畔域におけるカツラ実生の発生サイトと定着条件
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概要
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渓畔林においてカツラの発生サイトおよび実生の定着条件を, 共存種であるシオジ, サワグルミと比較して明らかにした。カツラは砂礫地やリターのあるところでは発生せず, 主に鉱質土壌が露出しているところで発生していた。この原因として, カツラは種子や実生のサイズが小さいため, 砂礫やリターに埋もれてしまうこと, 砂礫地では乾湿の差が土壌面に比べ大きいことが考えられた。一方, シオジ, サワグルミは砂礫地であっても, またリターがあっても発生したが, これは両種の種子サイズが大型なため, 砂礫地やリターの堆積した立地でも地上に子葉を展開できること, 十分な長さの根を伸ばせることが原因と考えられた。1年生以上の実生の定着サイトで相対照度を比較した結果, カツラはサワグルミと同様, 15〜20%程度の相対照度が必要なのに対し, シオジは5〜10%でも生存できた。ただし, 土の露出した明るいサイトに多く発生するカツラの実生は, 大雨のときなどに土ごと流されることが多いため, 共存種のシオジやサワグルミに比べ実生による更新が困難なことが予想された。
- 日本森林学会の論文
- 2000-11-16
著者
-
久保 満佐子
山梨県森林総合研究所
-
島野 光司
信州大学理学部
-
崎尾 均
埼玉県農林総合研究センター
-
大野 啓一
横浜国立大学環境情報研究院
-
崎尾 均
新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センター
-
島野 光司
千葉大学園芸学部
-
島野 光司
横浜国大環境研
-
島野 光司
信州大学理学部物質循環学科
-
大野 啓一
横浜国立大学環境科学研究センター
-
大野 啓一
横浜国立大学院環境情報研究院
-
大野 啓一
横浜国立大学大学院環境情報研究院
-
大野 啓一
横浜国大
-
久保 満佐子
横浜国立大学環境科学研究センター
-
島野 光司
横浜国立大学環境科学研究センター
-
崎尾 均
埼玉県農林統合研究センター
-
崎尾 均
埼玉県農林総合研究セ
-
大野 啓一
横浜国立大学
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