長野県松本盆地の神社林が提供する植物の生育環境の比較
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概要
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神社林が様々な植物の生育環境を提供していることを明らかにするために,長野県松本市内の8つの神社(10調査区)と周辺の5つの対照区,合計75調査地点で植生調査,光環境調査,土壌水分環境調査を行った.神社林はいずれもスギ,ヒノキ,ケヤキなどが林冠を被っていたが,多様な植物が林床に生育していた.対照区と比べると,山地に生育するとされている種や林縁に生育するとされる種が神社林で多く見られ,一方で路傍に生育する種は少なく,帰化率も低かった.また,神社林は土壌含水率が高いところ,低いところがあり,土壌含水率の高いところでは,湿地に生育する種の割合が高かった.神社林内で帰化率が低いのは,高木の林冠層の存在による,適度な被陰とそれにともなう山地生殖物の増加によるものと考えられた.こうしたことから,住宅や農地として開発された市街地において,神社林は多様な植物の生育の場として機能していることが分かった.
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