林木の交配に関する基礎的研究(III) : スギの花粉の発育と発芽
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概要
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本研究は花粉の採取時期を判定するためになされたものである。1)四分子から分離した未熟花粉は10月に急速に生長して, 11月下旬には飛散時の花粉とほぼ同じ大きさになった。花粉は生長期の終わりに1回分裂して, 生殖細胞と花粉管細胞が形成された。花粉の細胞分裂は10月中旬〜12月中旬の期間(盛期は10月中旬〜11月中旬)に観察された。12月下旬にはほぼ100%分裂は終了した。花粉形成から細胞分裂開始までの所要日数は約1ヵ月であった。花粉の生長経過および細胞分裂の時期は個体によって多少ちがいがみられた。2)花粉は細胞分裂後約10日で発芽力を獲得した。花粉の発芽は10月下旬より認められた。発芽率は花粉の発育にともなって急速に増加し, 1月には飛散時とはぼ同じ発芽率を示した。花粉管の伸長についても, 発芽率と同様の傾向が認められた。発芽の初期には花粉管はあまり伸びないが, 1月になればよく伸びるようになる。花粉形成から発芽能力獲得までの所要日数は約40日であった。花粉の発芽と花粉管の伸長の経過, 発芽率, 花粉管の長さなどは個体によってかなり変異があった。以上の結果から, スギの花粉は飛散の約2ヵ月前に飛散時とほぼ同じ発芽能力を獲得していることがわかった。したがって, 自然飛散の前に花粉をとることができる。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1970-04-25
著者
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