林木の交配に関する基礎的研究(I) : ヒノキの花粉の形成, 発育ならびに採取適期
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概要
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1)花粉母細胞は3月上旬に減数分裂を開始し, 3月中旬の後半〜下旬の前半に四分子が形成された。第一分裂中期像は3月16日〜21日に観察された。減数分裂の期間は約20日であった。減数分裂の異常はほとんど認められなかった。減数分裂は平均温度が6〜10℃のときに行なわれるようである。2)四分子から分離した未熟花粉は3月下旬の後半に急速に生長して, 4月上旬には成熟花粉とほぼ同じ大きさになった。そして飛散の5〜7日前に, 1回細胞分裂を行なって成熟花粉に発達した。成熟花粉では生殖細胞と花粉管細胞の二つが認められた。飛散期は4月10日ごろからであった。四分子形成から飛散までの所要日数は約25日であった。3)人工発芽試験の結果, 花粉の発芽は3月26日まき付け(飛散の約15日前)より認められた。発芽率はその後花粉の発育に伴って漸次増加し, 4月6日(飛散の約4日前)には飛散時とほぼ同程度に達した。発芽した花粉はすべて2核を有する。したがって, 単核の未熟花粉は置床後細胞分裂を行なってから発芽するものと推定される。4)以上の結果から, 花粉の採取時期は飛散時が最もよいが, 飛散の数日前でも採取できないことはない。
- 1968-10-25
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