トチノキの着花習性, 花粉の生産量および花粉の発芽について

概要

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トチノキは円錐花序をつけ,一つの花序に雄花と両性花が混生する。雄花は花序全体に着生したが,両性花は主に花序の下部〜中部の側枝に着生した。1花序当たり平均着花数は雄花が267個,両性花が22個であった。全着花数に対する両性花の比率は平均7.7%であった。1側枝当たり着花数は,雄花が平均8個,両性花が平均2個であった。両性花は側枝の下から6〜7番目に最も多く着生した。個体および樹冠の部位によって,1花序当り着花数および性比に差異がみられた。樹冠上部の大型花序は樹冠下部あるいは内部の小型花序に比べて着花数が多く,両性花の比率が高い傾向がみられた。1花序当り花粉生産量は平均61,455,000個と推定された。花粉の人工発芽床の最適条件は,pH7.0,ショ糖濃度10%,寒天濃度1%で,培養温度は20℃が最適であった。花粉の発芽が早く,2時間程度の培養で発芽能力の判定が可能であった。花粉の発芽率は個体によって差があったが,いずれの個体も90%以上の高い発芽率を示した。
一般社団法人日本森林学会の論文
1995-11-01