断幹処理にともなうクヌギ苗木の成長と内生インドール酢酸およびアブシジン酸の消長

概要

論文の詳細を見る
主根を20cmに切りそろえた4年生のクヌギ苗木を地上部50cmで断幹処理して植栽し, その後の成長と, 地上部・地下部に含まれるインドール酢酸(IAA)およびアブシジン酸(ABA)量の変化との関係を調べた。新根は無断幹区, 断幹区とも, 新条の展開に先立って発生したが, 断幹区は, 無断幹区に比べて約1週間早かった。また, 断幹区では新根発生後約2週間で潜伏芽が開芽し, 急速に伸長したが, 無断幹区における頂芽は発根後, 短期間で開芽し, その後きわめて緩慢に伸長した。一方, IAAは断幹苗木内でもかなりの量が検出された。IAA量は断幹区の切断部位および無断幹区の先端部で, ともに類似した増減傾向を示し, 1週間目にピークに達した。また主根内のIAA量は, 断幹区, 無断幹区とも新根の発生した下部において1週間目に増加した。一方, 断幹区のABA量は, 無断幹区に比べてはるかに少なく, 開葉以後, 断幹部付近の幹でやや増加する程度であった。とくに断幹区の根ではABAはきわめて低い値で推移した。これらの結果から, クヌギの断幹処理による造林の有利性は, 断幹を行ってもIAA含量が維持されると同時に, ABA含量が低く抑えられることが重要な鍵となっているものと考えられる。
一般社団法人日本森林学会の論文
1993-03-01

断幹処理にともなうクヌギ苗木の成長と内生インドール酢酸およびアブシジン酸の消長

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク