異なった抵抗性遺伝子を有するジャガイモ種間雑種からのファイトアレキシン様物質リシチンの単離
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概要
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すでに報告したようにR 1-遺伝子を有するジャガイモ品種「リシリ」から新抗曹性物質リシチンを単離することができた。この物質はファイトアレキシンの一種と考えられる。この物質はジャガイモの疫病抵抗性に重要な一つの役割を果しているように思われる。そこでこの物質がその他の抵抗性遺伝子R 2, R 3, R 4をもつジャガイモ種間雑種 (Solanum tuberosum XS. demissum) の品種およびr-遺伝子を有するS. tuberosum の品種にも存在するかどうかを知るためにこの実験を行なった。種間雑種に対しては不親和性疫病菌レースを接種し, またS. tuberosum 品種に対しては疫病菌無細胞苗体抽出液で処理することによって各々褐変を誘起して, その組織よりリシチン様物質を抽出した。この物質は薄層クロマトグラフ上でリシチンと同一Rf値を示し, 濃硫酸に対して同一発色を示す。このものを di-3, 5-dinitrobenzoate として結晶化し, その融点測定, 混融試験および赤外吸収スペクトルによってこれらがリシチンと同一物質であることを証明した。したがってR l, R 2, R 3, R 4遺伝子のどれかを持っている S. tuberosum XS. demissum 品種および r-遺伝子をもつS. tuberosum 品種はともに不親和性病原苗の侵害を受けるとリシチンを生産することができると結論する。
- 日本植物病理学会の論文
- 1968-02-29
著者
-
正宗 直
北大
-
正宗 直
北大理学部
-
勝井 信勝
北大理
-
佐藤 章夫
北海道農試
-
佐藤 章夫
農林省北海道農業試験場
-
富山 宏平
農林省北海道農業試験場
-
勝井 信勝
北海道大学理学部
-
正宗 直
北海道大学理学部
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