ベクトル計算のための一次回帰演算の高速アルゴリズム

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一次回帰演算は,微分方程式の差分法などの数値計算に出現する重要度の高い演算であり,リバモアベンチマークでも取り上げられている演算である.しかし,この演算は単純にベクトル化して高い加速率を得ることが難しい.これは,標準的に記述された一次回帰演算を実行する際に発生するデータの流れがベクトル計算機のパイプラインアーキテクチャにうまく合致しないためである.従来より,一次回帰演算に対するいくつかの並列アルゴリズムが知られているが,これらはベクトル計算機の特徴を十分に考慮してデザインされていないため,現在広く利用されているベクトル計算機にそのまま適用しても,ベクトル計算機の持つ高速性が発揮されないことが多い.本稿では従来の一次回帰演算の並列アルゴリズムをベクトル処理向きに改良した新しいアルゴリズム「ブロック化逐次型巡回縮約」を提案する.この手法は逐次型巡回縮約とループ・アンローリングを組み合わせたもので,ブロック化によってベクトルプロセッサと主記憶の間のデータ転送量を減らし,主記憶のアクセス間隔がバンク衝突を起こしにくい間隔になるようにしている.これにより,速度低下の主要な原因が排除され,ベクトル計算機の能力が効果的に発揮されるようになる.このアルゴリズムは,一次回帰演算のための専用ハードウェアをもつベクトル計算機ではその利用によりさらに高速化が可能であるが,専用ハードウェアを持たないものにおいても十分効果的である.
一般社団法人情報処理学会の論文
1995-03-15

ベクトル計算のための一次回帰演算の高速アルゴリズム

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