オブジェクト指向スクリプト言語Rubyへの世代別ごみ集め実装手法の改良とその評価

概要

論文の詳細を見る
オブジェクト指向スクリプト言語Rubyを高速化するため, Rubyに世代別ガベージコレクション(GC)を実装する手法が提案されている.しかし, この方法では, (1)オブジェクトを双方向リストでつなげているため, メモリ使用量が多い, (2)拡張ライブラリ作成者が参照検出をしなければならない, (3)ルートとなるオブジェクトが古い世代のオブジェクトを多数参照しているとき, 無駄な追跡を多く行ってしまい, GC処理時間が長くなるという問題があった.本論文で, この3つを解決する.(1), (2)の問題を解決するため, 新たな実装を行う.また, (3)の問題を解決するため, タイプ別ルート選択を提案する.タイプ別ルート選択とは, オブジェクトのタイプによってルートの場所を変更する方法である.これらの解決方法を実装し, 性能評価を行った結果, 本手法が有効であることが分かった.また, 本手法はオリジナルのRubyと比べ, GC処理時間が最大88.7%, プログラムの実行時間が最大39.3%短縮することが分かった.
一般社団法人情報処理学会の論文
2002-01-15