パラレルコーパスからの機械翻訳向け同義表現抽出(自然言語)(<特集>「インタラクション:理論,技術,応用,評価」)

概要

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自然言語では同義表現,すなわち主要な意味を共有する表層的に異なる表現,が存在する.この同義表現の多様性は,用例翻訳や統計翻訳といったコーパスに基づく機械翻訳の性能低下を招く.本論文では,パラレルコーパスから同義表現を自動獲得し,それらを利用することによりコーパスに基づく翻訳の性能を向上させる方法について述べる.パラレルコーパスにおいて訳文が等しい文を同義文と考え,同義文間に存在する差異をDPマッチングにより抽出し,さらに頻度に基づいたフィルタリングを行い同義表現を獲得する.獲得する同義表現は,単言語の観点の基で同義である表現だけでなく目的言語へ翻訳した段階で同義である表現も含んでおり,翻訳において有用となっている.さらに,機能語に関する同義表現が獲得できるという特長も備えている.用例翻訳において獲得した同義表現の統一を施したところ,日英,英日の双方向で翻訳可能な文を約8%拡大し,訳質の低下もわずかにとどまった.また,統計翻訳において同義表現の統一を施したコーパスで学習させたところ,日英の翻訳において訳質が2.5%向上した.
一般社団法人情報処理学会の論文
2003-11-15