パス過敏症に関する研究 : 統計的観察および減感作治療を中心に

概要

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我々はアレルギーの立場よりパス過敏症の検討をおこなった.対象は4結核病院を中心にしたパス過敏症113人である.1) パス過敏症の発生頻度は3.35%〜5.28%とかなり高く, 男女比はほぼ1:2で女子に多かった.2) パス内服を開始してより, 過敏症状発生までの潜伏期間は, 3〜35日が大多数であって, 14日前後が最も多かった.3) 過敏症状は発熱型が最も多く75%, 皮膚発疹がこれについで64%, 以下, リンパ線腫脹, 四肢痛, 眼球結膜充血, 呼吸困難, しびれ感, ショック等であった.4) パス-Na の生食溶液による皮内テストは陽性率10%内外で, 診断的価値があるとは思われなかった.5) 54例に減感作治療をこゝろみ, 45例に成功した.成功率は83%の高率で, 減感作完了後, 1日8〜10gの内服をつゞけることができ, 結核症の予後もよかった.6) 減感作前後におけるパス内服による末梢血中の血小板減少率を測定した.減感作前の8例平均値は-44%, 対照の-7.5%に比して著明に減少の傾向を示した.減感作後の6例平均値は-21%であった.7) 同検査を試験管内で行うことをこゝろみ, 減感作前の過敏症者の試験管内血小板減少率は, いずれも正常値上限-20%をうわまったが, 減感作後のそれは対照値とことなるところはなかった.8) 上記の方法を用いて減感作実施後の患者の血清中にいわゆる blocking antibody 様物質が存在するか否か検索し, 7例中2例に血小板減少抑制傾向を認めたが, 健康者血清においても同様の傾向を示す場合が認められたので, 積局的に blocking antibody の存在を主張する根拠はえられなかった.
日本アレルギー学会の論文
1964-06-30

パス過敏症に関する研究 : 統計的観察および減感作治療を中心に

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