羊水中インターロイキン1の経時的変動と羊水中プロスタグランジン濃度との相関について

概要

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羊水中のIL-1の働きを明らかにするために, 79例の羊水中の IL-1α, IL-1β 濃度を ELISA により測定し, 以下の三つのグループに分けて検討した. また, これらの症例のうち40例については同時に羊水中の prostaglandin 濃度についても測定した. その内訳はグループ1(G-I):妊娠22週未満で胎児染色体検査のために採取した羊水16例. グループ2(G-II):36週以降正常分娩時に経腔的に採取した羊水54例. グループ3(G-III):妊娠36週以降の予定帝王切開時に経腹的に採取した羊水9例である. 1) G-I では IL-1α は低濃度(15.6±20.9pg/ml)ながら存在していたのに対して, IL-1β はほとんど測定感度以下であった. 2) G-III の IL-1α 濃度ほ59.9±48.0pg/ml と G-I に比べて増加していた (p < 0.05) のに対して IL-1β は検出されなかった. 3) G-II はG-I, -III に比べて高濃度の IL-1α(201.0±299.3pg/ml), IL-1β (1,024.1±1,321.9pg/ml) が存在していた (p < 0.01). 4) 同一羊水中の IL-1 と prostaglandin 濃度を比較したところ, IL-1β と prostaglandin の相関係数はPGE_2で0.66, PGF_<2α>で0.75と非常に強い正の相関を示していた. 以上の結果より, 羊水中の IL-1が prostaglandin 産生を介して分娩時の子宮収縮にも重要な働きを演じていることが示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1991-01-01