女子運動選手の長時間運動時の内分泌学的変動

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近年、女性のスポーツ活動の積極化にともない、スポーツ活動が月経現象に及ぼす影響が注目されている。これまでに、初経発来の遅延傾向や各種月経異常が女子運動選手において高頻度であると報告されている。これら月経異常の発現機転の詳細は解明されていないが、スポーツ活動時ごとに繰り返される内分泌学的変動(血清ホルモン値の変動)が重要視されている。そこで、一流の女子運動選手である大学バスケットボール部員5名に対し、卵胞期および黄体期において、自転車エルゴメーターを用い、最大酸素摂取量の60%相当の負荷強度で、60分間の長時間運動負荷試験を案施し、血清ホルモン値の変動を検討した。安静時の各血清ホルモン値は両期とも異常値を呈する者は認められなかった。運動負荷試験中の血清estradiol値は、両期とも増加傾向を示すが、黄体期での上昇は著明であった。黄体期における血清progesterone値、および血清FSH値は両期とも軽度の増加傾向を示したが、その変動は明らかではなかった。血清LH値の変動は、卵胞期では軽度の上昇傾向を、黄体期では軽度の減少傾向を示しており、一定の傾向は認められなかった。すなわち、卵巣性steroid hormonesの変動はgonadotropinsの変動と一致しておらず、中枢性のfeed back機構を介した調節を受けていないものと思われる。これらに対し、血清prolactin値の変動は非常に著明であり、両期とも運動負荷開始にともない直ちに上昇し、運動の継続により持続的に上昇した。高prolactin血症では卵巣機能が抑制されることから、女子運動選手の各種月経異常の発現機転に、スポーツ活動のたびごとに繰り返される血清prolactin値の一過性ではあるが著明な上昇が大きく関与しているのではないかと考えられる。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-01-01

女子運動選手の長時間運動時の内分泌学的変動

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