トレッドミル運動負荷試験による妊婦スポーツにおける安全性の検討

概要

論文の詳細を見る
妊婦スポーツの母児に対する安全性を確認するために, 妊婦の運動負荷時における母児の心拍数の変動を調べ, 適切な運動負荷強度の検討を行った。妊娠34週から39週の正常妊婦10例を対象として, トレッドミル歩行による漸増運動負荷試験を行った。1) 運動負荷試験では, 10例中7例で胎児心拍数の測定が可能であった。2) 母体の運動中の最高心拍数は143〜168 bpmであり, 推定運動強度は最大酸素摂取量の61〜84% (61〜84%VO_2max, 以下VO_2maxは略) に相当した。3) 4例において, 運動中の胎児心拍数の明らかな増加を認め (p<0.01), その増加の平均は11 bpmであった。他の3例では明らかな変動を認めなかった。負荷運動強度の平均は, 胎児心拍数増加群が70.3±9.7% (Mean±S.D.), 非増加群が68.7±6.7%であり明らかな差を認めなかった。4) すべての実験中において, fetal distressを示唆するような徐脈やvariabilityの減少などの異常胎児心拍パターンは出現しなかった。5) 負荷運動強度が70%以上であった4例では, 平均胎児心拍数が160 bpmを越えたものが3例, 120 bpm以下を示したものが1例であった。これに対し, 61〜64%であった3例では, 平均胎児心拍数は120〜160 bpmの間にあった。以上より, 妊婦に対する適正運動強度は, 最大酸素摂取量の70% (母体心拍数約150 bpm) 以下であることが望ましいと考えられた。
1992-03-01

トレッドミル運動負荷試験による妊婦スポーツにおける安全性の検討

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク