双胎の予後に関する双胎児間輸血症候群の占める意義とその出生前診断に関する検討
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概要
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双胎妊娠の予後に著しい影響を及ぼす双胎児間輸血症候群(TTS)のメカニズムを双胎の周産期死亡例について検討するとともに, 双胎の胎児付属物の検討から予後の不良なTTSを出生前に超音波断層法にてスクリーニングする方法を考察した. (1)全双胎71例中の周産期死亡例は12例で, そのうち8例がTTSを合併していた. 1例は無心体妊娠の健常児, 4例はTTSの送血児, 3例はTTSの受血児であった. また妊娠35週未満かつ2,000g未満の双胎19例のうち10例が周産期死亡に陥り, うち7例がTTSによる死亡と考えられた. (2)絨毛膜数と児の大小不同により双胎を4群にわけて, 周産期死亡率, 35週未満の早産率, 羊水過多率, 平均羊水量, [サイ]帯断面積比を比較検討した. 一絨毛膜性で大小不同のある双胎は他の3群に比較し, 有意に周産期死亡率(39.3%), 35週未満の早産率(62.2%), 羊水過多率(50.0%), 平均羊水量(3,310ml), [サイ]帯断面積比(2.38)が高かった. (3)全双胎のうち一紘毛膜性でかつ大小不同のある双胎(A群)は12例でそのうち8例(66.7%)がTTSであった. 逆に全双胎のうちTTSは13例でそのうち8例(61.5%)がA群であった. 一絨毛膜性でも大小不同のない群(B群)のTTSは5例あり, その全例が35週以降の分娩でかつ周産期死亡は0であった. 以上より, TTSは従来の報告より双胎の予後に及ぼす影響は大きく, 早産低出生体重児に占める割合も多い. 予後の悪いTTSをスクリーニングするためには一繊毛膜性で大小不同のある双胎を出生前に超音波断層法にて発見すればよい. すなわち 1)妊娠初期GSが一つ, 2)推定体重2児の差/大きい児≧比率0.2, 3) [サイ]帯断面積比≧2.0, が大切である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-06-01
著者
-
濱田 洋実
筑波大
-
久保 武士
筑波大学臨床医学系産婦人科
-
久保 武士
筑波大臨床医学系
-
岩崎 寛和
筑波大臨床医学系
-
濱田 洋実
筑波大学臨床医学系産科婦人科
-
岩崎 寛和
筑波学園病院
-
岡本 一
筑波学園病院産婦人科
-
目崎 登
筑波大学臨床医学系
-
岡根 真人
茨城県周産期セ
-
岡根 真人
筑波大学臨床医学系産婦人科
-
岡本 一
筑波大学臨床医学系産婦人科
-
岩崎 寛和
筑波大学臨床医学系産婦人科
-
岩崎 寛和
横浜市立大学医学部産科婦人科
-
久保 武士
筑波大学臨床医学系
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