母児NK細胞の表現型と機能の発現に関する研究

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NK細胞は, その成熟過程においてheterogeneityを有しながら生体防御機構に重要な役割を担っているものと考えられている。われわれはかかるNK作用を追究する目的で分娩時母体末梢血ならびに〓帯血中から得た24症例のNK細胞について両者の細胞表現型, 細胞障害作用, recombinant interleukin 2 (rIL-2) に対する反応性, 電顕的細胞構造などについて検討を行い, 以下の結果を得た。母体NK細胞の表現型はLeu7^+-11^- (6.2±2.1%, SD), Leu7^+-11^+ (5.6±1.8), Leu7^--11^+ (5.5±2.1) とほぼ均一な陽性率を示したのに対し〓帯血中表現型はLeu7^--11^+ (8.2±2.4) のみに偏った。NK細胞のK562細胞に対する細胞障害性をATP放出量による測定系で検討すると, 4時間培養で母体NK細胞の障害率は80.4±10.5%, SDを示したのに対し, 〓帯血中では半分の40.5±8.5しか示さず, 有意差が認められた (p<0.01)。両者のNK細胞をrIL-2 (10単位) 添加培養下で細胞障害率を検討した結果, 〓帯血中の障害作用は培養時間2時間ですでにrIL-2非添加群より有意に増強し, 以後培養時間4時間まで有意に増強した。しかし5時間以後の培養では有意差は認められなかった。母体のNK細胞はrIL-2添加による増強作用には有意差はなかった。電顕所見による〓帯血中のNK細胞は胞体に突起を有する未熟所見のほか, 顆粒の数, 濃度ともに減少の傾向があった。しかし単クローン抗体による免疫染色では〓帯血中のNK細胞はすでに18週の流産例においても陽性を示した。以上の結果から母児のNK細胞は機能的, 形態的にみて異なった状態にあり, 児のNK細胞は未熟といえるがrIL-2に対する応答はむしろ母体より早期に誘導され, その結果母体に比して, より鋭敏性が発揮されやすいものと考えられる。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1989-05-01

母児NK細胞の表現型と機能の発現に関する研究

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