産褥期の乳頭吸引刺激によるProlactin放出反応についての検討

概要

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産褥期の児による乳頭吸引(suckling)刺激により反射的に下垂体からprolactin(PRL)の放出が起こることが知られているが,この反応について産褥週数との関連から検討した。またこの反応をつかさどる視床下部の神経機構としてserotonergicあるいはdopaminergicneuroneの関与が示唆されており,この点についても若干の検討を試みた。合併症を有したい満期分娩後の授乳婦人38例を対象とした。産褥1週以内の群(n=17)ではsuckhng(平均約20分)により血中PRL(Meal±SE;ng/ml)は前値201.9±27.5に対し15分後294.7±25.6,30分後300.9±25.9,産褥1〜2週の群(n=12)ではそれぞれ139.4±24.2,268.7±24.0,253.8±28.1;産擬4〜5週の群(n=9)では51.8±6.9,212.9±14.8,239.3±21.4であり,いずれの群でも有意なPRLの増加がみられた.産褥2週以内の2群の間では前値および増加量ともに有意差がなかったが,産褥4〜5週の群では2週以内の群に比べ前値は有意に低下し,逆に増加量は有意に大きかった。これら3群の各婦人におけるPRLの基礎値とsucklingによる最大増加量との間にはr=-0.538(p<0.001)と負の相関関係が認められた。産褥1週以内の授乳婦人20例に対し,serotonin antagonistのcyproheptadine 8mg(n=8)とmeter goline 4mg(n=6)をそれぞれ経口投与し,またdopamine 2μg/kg/min(n=6)を持続点滴投与して2〜4時間後にsucklingを行った。血中PRLの基礎値はcyproheptadine投与群では不変であったが,metergoline,dopamine投与群では著しく低下した.sucklingによるPRLの増加は対照群に比して3群とも有意に抑制されたが,とくにmetergolineとdopamineで著明であった。以上の結果より,産褥5週以内の血中PRLの動向は基礎値の漸減とともにsuckingによる放出反応の亢進がみられ,この両者の間には負の相関が認められる。またsucklingによるPRLの放出にはser otonergicおよびdopaminergicの両方の機構が関与していると推定される。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1984-01-01

産褥期の乳頭吸引刺激によるProlactin放出反応についての検討

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