高感度の赤血球凝集反応を用いた尿中 HCG/LH の微量定量

概要

論文の詳細を見る
従来の免疫学的妊娠診断試薬より100倍以上の感度を持つ高感度の赤血球凝集反応によつて尿中 HCG/LH を測定し次の結果を得た. その感度は 6〜7iu (HCG)/l 15〜17.5 iu (LH)/l で従来の HAIR による測定を参照すると個々の値に関しては相異が見られるが低値を示す症例ではよく一致した. この測定法により奇胎娩出後の尿中 HCG を追跡し, 約30日で正常周期婦人尿中 LH level まで低下することを認めた. また本法により測定した正常月経周期婦人尿中 LH は卵胞期, 黄体期に30〜60 iu (LH)/l 排卵期には240〜480iu (LH)/l の peak を示し従来の報告と類似した結果を得た. 又この値は同時に測定した血中 LH の変動と極めてよく一致した. 各種内分泌疾患の尿中 LH を測定し, 高値を示す例, 正常あるいは低値を示す例とを分類できた. 合成 LH-RH 投与後30分毎に分画採取した尿中 LH を測定し, 30分後にすでに著明な上昇を示すことを認めた. これは LH-RH 投与後の血中 LH の変化とよく同調した結果である. 以上の成績から本測定法は高感度である上に操作が簡便で, その実用的価値は極めて高いと考える.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1973-11-01