黄体期・妊娠初期におけるGonadotropin及びProlactin分泌機構の関連性に関する研究

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黄体期より妊娠初期に至る、視床下部・下垂体系のgonadotropin(Gn)分泌能及びprolactin(PRL)分泌能の推移や、両者の関連性について検討した。正常妊娠初期婦人7例、正常周期黄体期婦人8例に対し、LHRH100μgを1回静注投与し、それとは別に、妊娠初期婦人10例、黄体期婦人7例に対し、metoclopramide(MCP)10mgを1回静注投与した。薬剤投与前後の血中ホルモン動態を、妊娠初期群はLHβsubunit(LH-β)、PRL、estradiol(E_2)、progesterone(P)を、黄体期群はLH、FSH、PRL、E2、Pをradioimmunoassayにて測定し、薬剤不投与のcontro1群と比較検討した。1)妊娠初期婦人では、LH-β基礎値は1.07±0.06ng/mlと低値を示し、またLHRH静注後、LH-βは上昇の傾向はみられるものの有意差はなかつた。2)黄体期婦人では、LHRH静注後Gnだけでなく、PRLにも有意な(p〈0.05)上昇がみられ、下垂体でのGn分泌とPRL分泌にsynchronyが証明されたが、妊娠初期婦人では、LHRH静注後PRLの上昇はみられなかつた。3)MCP静注後、妊娠初期群でのLH-β、E_2、P、黄体期群でのLH、FSH、E_2、Pに有意な変動はみられなかつた。4)MCP静注後PRLは、妊娠初期群、黄体期群ともに180分間有意な(p<0.01)上昇を示し、ΔPRLのピーク値は、前者315.8±35.9ng/ml、後者226.7±35.1ng/mlを示したが、両群間で有意差はみられなかつた。以上により、黄体期では、下垂体からのGn分泌とPRL分泌との間に深い関連性がみられるが、妊娠初期に血中steroid hormoneが上昇し下垂体のGn分泌能が低下すると、Gn分泌とPRL分泌間のsynchronyはみられなくなる。一方、この間の視床下部・下垂体系のdopamine(DA)活性は保たれるため、DA antagonistに対し血中PRLは、黄体期、妊娠初期ともに同様に良好に反応し、血中Gnは有意な変動を示さないことを明らかにした。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-04-01

黄体期・妊娠初期におけるGonadotropin及びProlactin分泌機構の関連性に関する研究

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