悪性上皮性卵巣腫瘍の estradiol 局在に関する免疫組織学的研究

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顆粒膜細胞腫。莢膜細胞腫といった性索間質系に由来するestrogen産生腫瘍以外に腺腫^<13)>・腺癌^<16)>・Brenner腫瘍^<19)>などの上皮性卵巣腫瘍でもestrogen活性のあるものが報告されている,今回,我々は上皮性卵巣腫瘍のestrogen活性について,漿液性嚢胞腺癌2例,ムチン性嚢胞腺癌5例,類内膜癌2例について抗estradiol抗体を用いた酵素抗体法の間接法により免疫組織化学的に検討を加え,estradiolの局在について以下の結果を得た.1.上皮性卵巣悪性腫瘍9例中estradiolの局在が認められたものは6例であった.内訳はムチン性嚢胞腺癌4例,類内膜癌1例,漿液性嚢胞腺癌1例であった.2.ムチソ性嚢胞腺癌では,漿液性嚢胞腺癌,類内膜癌に比較してestradiolの局在が高頻度で認められた.3.陽性を示した上皮細胞のうち,ムチン性嚢胞腺癌では,胞体の明るい細胞質が様々な程度でestradiolの局在を認められたが,混在していたgoblet様細胞では,認められなかった.漿液性嚢胞腺癌,類内膜癌でも同様に上皮細胞の細胞質でestradiolの局在が認められた.4.間質細胞でもestradiolの局在が認められたが上皮細胞に比較すると酸素抗体胞での免疫反応は弱かった.5.spindle様細胞,線維性結合織では全例でestradiolの局在は認められなかった.以上の結果より,悪性上皮性卵巣腫瘍では,estrogen活性を有するものが存在し,実際にestradiolを産生している細胞は間質細胞のみでなく上皮細胞でも行われていることが示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-03-01

悪性上皮性卵巣腫瘍の estradiol 局在に関する免疫組織学的研究

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