hMGの律動的および持続的投与による排卵誘発の内分泌検討

概要

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最近hMGの律動的投与による排卵誘発の有効性が報告されている.この場合hMGの律動的刺激自体が卵胞発育を促したのか,あるいはこの投与様式により血中FSHレベルが持続的に上昇したため有効であつたのかは不明である.すなわち,卵胞発育に必要なgonadotropin刺激は律動的でなければならないのか,それとも持続的でもよいのかについて検討した.多嚢胞性卵巣(PCO)の患者3例と視床下部性無月経4例を対象とした.hMG(Pergonal;LH/FSH含量比1:1)は1日当り150IUの投与量とし,4例(PCO3例を含む)は90分間隔(9.375IU/pulse),1例は18分間隔(1.875IU/pulse)で静脈内へ律動投与した.残りの2例は1日当り150IUを皮下に持続投与した.超音波断層法で卵胞成熟が認められた後はhCGの投与に切り替えた.9.375IUのhMG pulseによる血中gonadotropinの増加は,pulse後2〜5分でmax.⊿LH:4.5±0.8mIU/ml,max.⊿FSH:3.3±0.5mIU/ml(mean±SE,n=5)であり,FSHは投与期間中,持続的に約10mIU/ml増加した.18分間隔の投与例ではLH,FSHのpulse状増加は全くみられず,持続静注に近かつた.持続皮下注ではFSHの上昇が静注例に比べ低値であつた.7〜10日間の投与で7例全例が排卵した.排卵前の血中estradiolのピークは持続皮下注の1例(1,300pg/ml)を除いて3,000pg/ml以上に達し,黄体中期のprogesterone値も107.1±20.9ng/mlと高値であつた.挙児希望の4例(律動静注2例,持続皮下注2例)全例が妊娠した(単胎2例,双胎1例,子宮外妊娠1例).以上から,hMGの投与は律動的でも持続的でも排卵誘発に有効であることが示された.卵胞発育にはFSHレベルが高値に維持されることが重要であり,律動投与法はこれを可能にする方法の一つである.また,gonadotropin分泌の律動性は卵胞発育のために要求される必須条件ではないことが示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-01-01

hMGの律動的および持続的投与による排卵誘発の内分泌検討

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