正常妊婦および妊娠中毒症婦人におけるアルドステロンとプロラクチン分泌に関するドーパミン作動性調節
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概要
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ドーパミン (DA) 拮抗薬であるmetoclopramide (MCP) を投与し, アルドステロン (Ald) とプロラクチン (PRL) 分泌への影響を非妊婦, 正常妊婦, 重症妊娠中毒症および褥婦においてそれぞれ比較検討した。また妊娠各期, 分娩時〓帯血中および胎盤娩出後の母体血中Ald濃度を測定し, 次のような結論を得た。1.血漿Aldの基礎値は, 妊娠5〜9週ですでに非妊時の約3倍に増加し, 以後漸増しながら妊娠末期に至り約7倍に達したが, 分娩後は急速に非妊レベルへ低下した。2. 妊娠中毒症における血漿Aldの基礎値は, 非妊時および産褥に比べると約3倍増加していたが, 正常妊娠と比較すると, 有意に低下していた。3. MCPに対するAldの反応 (net increase) は, 正常妊娠では非妊時, 産褥に比べて2倍以上亢進していたが, 中毒症では非妊時と有意差がなかった。4. 血漿PRLの基礎値およびMCPに対する反応は, 正常妊娠, 中毒症および産褥で各々非妊時に比べ有意に増加していた。5. 〓帯血中のAldレベルは, 母体血中と比べて2倍以上高値を示した。6. 胎盤娩出後の血漿Ald濃度は, 胎盤性ステロイドの消退同様急速に非妊レベルへ低下した。このAldの消退とエストラジオール, プロゲステロンおよびhCGとの間には有意な相関性を認めた。以上より, 妊娠中Aldを増加させる要因は, Feto-placental unit由来であり, これが循環血漿量維持に関与していることが示された。中毒症においては, DAによるtonicなAld分泌抑制機構になんらかの失調がある可能性が示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-03-01
著者
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