酵素抗体法(ELISA法)による原因不明不妊婦人血中の抗精子抗体の測定
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概要
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血中抗精子抗体の測定を酵素抗体法(ELISA法)を用いて行った.対象として原因不明の不妊婦人83名,妊婦10名,未婚婦人9名,男性10名を用いた.このELISA法による抗精子抗体の測定結果と精子不動化試験及びHuhner testの結果について比較,検討を加え,以下の成績を得た.1) ELISA法により測定される抗精子抗体の陽性者は,原因不明の不妊婦人83名中20名(24.1%)であった.また,対照群の妊婦では10名中1名(10.0%),未婚婦人では9名中1名(11.1%),健常男性では10名中1名(10.0%)が抗精子抗体陽性であった.ELISA法によって測定した血中抗精子抗体の陽性率は,原因不明の不妊婦人の群と対照群との間に有意の差が認められた.2) ELISA法と精子不動化試験の結果の比較,検討を行った.両測定法とも陽性のものが6名,陰性のものが57名であった.一方,ELISA法が陽性で精子不動化試験が陰性のものが14名,逆にELISA法が陰性で精子不動化試験が陽性のものも6名みられた.このことより,ELISA法によって検出される抗精子抗体は,精子不動化抗体とは必ずしも一致しなかった.3) ELISA法とHuhner testの結果を比較,検討した.EHSA法による抗精子抗体陽性の16名中,Huhner test不良は10名で,Huhner test良好も6名認められた.このことより,ELISA法による抗精子抗体が陽性であってもHuhner test不良であるとは限らなかった.ELISA法によって測定される血中抗精子抗体は不妊婦人で有意に高い.しかもELISA法は迅速かつ簡便に,大量の検体の処理ができる,以上のことから,ELISA法による抗精子抗体の測定は,不妊症のスクリーニングには有用であると考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-12-01
著者
-
根来 孝夫
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
谷澤 修
大阪大学医学部
-
佐治 文隆
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
大橋 一友
大阪大学医学部産科婦人科
-
古山 将康
大阪大学医学部附属病院 泌尿器科
-
亀田 隆
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
南川 義夫
南川クリニック
-
南川 義夫
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
佐治 文隆
大阪大学医学部産婦人科学教室
-
大橋 一友
大阪大学医学部産婦人科学教室
-
亀田 隆
大阪大学医学部産婦人科学教室
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根来 孝夫
大阪大学医学部産婦人科学教室
-
古山 将康
大阪大学医学部産婦人科学教室
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