精子不動化抗体陽性不妊婦人血清, 卵胞液と特異的に反応するヒト精子細胞膜抗原の同定

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不妊婦人の血清および卵胞液中の精子不動化抗体と特異的に反応するヒト精子細胞膜抗原を分離, 同定, 解析した。健常男性より採取した精子をPBSで洗浄しホモジナイズした。その上清をショ糖勾配法にて遠沈し, 界面層より細胞膜成分を分離した。非イオン化洗剤Renex 30で可溶化した後, LcH 親和性カラムにてレクチン親和性糖蛋白を分離した。得られた精子細胞膜糖蛋白を^<125>IでラベルしBio gel A 1.5Mカラムでゲル濾過を行った。ゲル濾過した各分画を用い精子不動化抗体陽性の血清と直接結合反応を行い以下の結果を得た。(1) 血清中に高力価の精子不動化抗体を保有する不妊婦人の卵胞液中には同程度の精子不動化抗体が存在した。(2) 血清中と卵胞液中に存在する精子不動化抗体は同じヒト精子細胞膜抗原と反応した。反応したヒト精子細胞膜抗原は分子量15,000のLcHに親和性のある糖蛋白抗原であった。(3) 結合阻止反応において精子では100%の結合阻止を示したが, 精漿では最大31%の結合阻止しか示さなかった。(4) 間接螢光抗体法にて本抗原の精子細胞上での分布を検討し, 精子頭部赤道面上に強い螢光を認めた。以上の結果よりこの分子量15,000の精子細胞膜糖蛋白が不妊婦人の血清と卵胞液の精子不動化抗体の対応抗原である可能性が示唆された。またこの抗原は精子付着抗原ではなく, 精子本来の抗原であった。
1989-04-01

精子不動化抗体陽性不妊婦人血清, 卵胞液と特異的に反応するヒト精子細胞膜抗原の同定

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